人と組織研究所 気づきナビゲーター 高橋貞夫

ブログ

2010年7月11日

真のメンタルケア(ビジネスサプリメント427号)

最近驚いたことなのだがハローワークに「こころの健康チェックのお勧め」と言う

パンフが置かれているらしい。黒く太文字で「眠れてますか?」と書いてありチェ

ックシートまであり、いくつか当てはまる方や、不安や心配がある方はと言うこと

で相談窓口まで紹介されている。またある雑誌では「毎日90人が死を選ぶ異常」と

書いてあり、年間3万人超えは12年連続、日本の人口10万人当たりの自殺率は世界で

8番目に高く、主要先進8カ国ではロシアに次ぐ2番目の水準となっているそうだ。

人口10万人当たりの自殺率50歳代が最も高いが、20代と30代は過去最高を更新した

とある。またある新聞には、過労が原因でうつ病などの精神障害を発症して、2009年

度に労災申請した人が前年度比22,5%増となり1000人を超え過去最多を更新したこと

が厚生労働省のまとめでわかったようだ。また厚生労働省は職場での定期健診の項目

の見直しを含めて年度内に法改正し、職場健診でうつ病検査を「職業性ストレス簡易

調査票」等を利用することを検討するとあった。どこかでストップをかけていかない

といけない状況に直面していることは確かである。しかしメンタルケアの対応に追わ

れている状況が続くことが本当におかしいし、真の解決策にはならないように感じる。

むしろ職場の風土が従業員の心を蝕んでいるのではないだろうか。指示や命令だけで

業務が進められていないだろうか?思い込みやあきらめ感が蔓延していないだろうか?

真のコミュニケーションがなされ、仲間の危険信号が見落とされていないだろうか?

現場重視がなされず、本部で勝手に決まったことを執行していくのみでは「働く楽し

さ」は感じることが出来ない。現場目線とは大きくかけ離れた状況からはメンバーの

心は徐々に蝕まれていくものである。お互いに相手に関心を持ち、何でも言い合える

職場、現場と管理職が同じ目線で話が出来る職場づくりが今ほど求められている時は

ないと感じる。問題が出れば早急な対応を心がけると共に、「何でも気楽に話せる

職場づくり」が喫緊の課題であろう。

2010/07/11 17:28

お問い合わせ