人と組織研究所 気づきナビゲーター 高橋貞夫

ブログ

2010年7月19日

自分のため(ビジネスサプリメント428号)

最近メジャーへ移ってからのイチロー選手のインタビュー特集を読んでみた。

印象的だったのは彼の言葉が自然に出ていることだった。本当に素晴らしい人材

ではないか。その中でも同感だったのはプレーする時は「自分のため?」「チーム

のため?」と言う部分であった。イチロー選手はWBCの監督だった王さんにプレー

する時は「自分のためか?チームのためか?」を聞いたそうだ。そうすると王さん

は「当然自分のため」とお答えになったとか。イチロー選手の考えと一致したので

ある。もちろんチームプレーなので、その一言だけでは誤解を受けるが、取り組む

スタンスは良く理解出来る。自分のために努力する人は、きっと人には言えないよ

うな厳しい練習を重ねているのだろう。王さんの大記録やイチロー選手の大記録は

「天才」と言う言葉だけでは生まれないものだ。犠打の記録を持っている選手も、

自分のスキルを高め自分のためにやっているから結果的にチームに貢献するものな

のだろう。私は個人ヒアリングで何時も言っていることだが「仕事は自分のために

精一杯すること、その結果として会社のため、組織のためにつながる」と申し上げて

いる。当然組織の一員であるから組織のために頑張らないといけないのは当たり前で

ある。しかしそのことが全面に出すぎると「MUST」の気持ちが強くなり、「やらさ

れ感」が芽を出してこないだろうか。あくまで主語は「自分」なのである。即ち

「WILL」の気持ちが醸成され指示命令だけでなく「やりたい」と言う気持ちが大事

なのではないだろうか。成果=能力×意欲×考え方であり、自分自身が能力を高め、

意欲を持ち、組織の考え方にそっていれば必ず組織に貢献するものだ。また仕事も

きっと楽しいはずである。上司の方々が部下は「言われたことだけを間違いなく

スピーディにすれば良い」なんてお考えであれば部下は伸びることは絶対にない。

その人の特性や良い点を見出してあげ、それを高めるのは「自分のため」と気づか

せてあげることが肝要である。そのような集団こそこの混迷の時代に光輝くのでは

ないだろうか。

2010/07/19 06:50

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