人と組織研究所 気づきナビゲーター 高橋貞夫

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2010年10月20日

未病と仮病(ビジネスサプリメント438号)

最近「未病」と言う言葉をよく耳にするが、病気ではないが健康とも言えない中間

の症状らしい。ある本によると約2千年前の中国の医学書に書かれているようで、

病気に向かっている状態であり、病気になってからではなく、病気になる前の治療

が重要であり、現代医学でも取り入れられ「予防医学の原点」となっているとある。

人間ドックの結果が大丈夫だからと考えている人は結構多いが完璧ではない。

タバコが値上げになったがまだくわえタバコで歩いている人もよく見かける。

受動喫煙で亡くなる方が交通事故よりも多いと聞くと怖くなるが、叱られそうだが

喫煙者は未病かもしれない。未病は病気に進展させてはいけない状態、健康に戻る

好機であり、今の状態が続けば病気になる、おゃ!おかしいなと感じたら未病を

疑うべきであろう。

振り返って企業をはじめ組織体でも同じことが言えるのではないだろうか。

誰もおかしいとは言えない、どんどん病状は進んでいる、財務諸表や損益計算書に

異常が出ていなくても、資金繰りに行き詰ってはいないだろうか。これだけ大企業

が危機に陥っている現在、絶対に大丈夫なんてあり得ない。

人間の体で言えば「生活習慣」を改めないと重病が潜んでいる可能性がある。

「何でも言いあえる風土だろうか」「透明性があり、コンプライアンスが遵守され

ているだろうか」、もしそうでなければ未病かもしれないのである。著しく損益が

落ち込んだら、経費の対売上比率が上がったなら、緊急に何か手を打たなければ

病気になってしまい、重病から「倒産」になったら一大事、筆者は筆舌に尽くし

がたい経験をしている。「何とかなるではなく、何とかしなければならないので

ある」。ましてや「仮病」(粉飾決算等)があればもはや赤信号である。企業で

言えば「ニーズ・ウオンツ・シーズ」を常に把握し、先手で対応策を考えないと

行き詰る。この混迷の時代、今までのやり方の踏襲で頑張っても手遅れになる

ことを心しておきたい。

2010/10/20 09:30 |

2010年10月10日

ある若手管理者(ビジネスサプリメント437号)

以前にお手伝いしていた企業に優秀な若手管理者がおられた。彼は何でも率先

垂範タイプであり、いざと言う時は「自分が責任取るから、思い切りやってみ

よう」と言う管理スタイルの方であった。ある時私に次のような質問をされた

のである。

「部下になる年上の監督職のマネジメントが難しい、彼は職人気質でありマネジメ

ントよりも仕事の方に気が入ってしまっている、自分の仕事を少しでも部下に託し

マネジメント力を付けてもらいたいが、どのようにしたら良いのか教えて欲しい」

と言う内容だった。私はその監督職の方も良く存じ上げているので下記のように

申し上げた。

①確かに職人気質で「マネジメント」は嫌いと言うタイプだが会社から任命された

役割には「マネジメント」が含まれているのでしっかりと役割遂行をして欲しい

ことは押さえるべきである。

②このような方は「理論や理屈」でお話してもなかなか聴こうとされないことが

多い、必ず「具体的事例」を引用して相手の興味あるポイントに絞りながらアド

バイスすべきである、そこから上手くいったことなど引用すれば話は弾むのでは

ないだろうか。

③場当たり的に指摘しても殆ど聞かれるスタンスにはなられないと思う、彼の

性格特性を良く見極めて、上から目線ではなく「同じ目線で」計画的に継続的に

具体的に指摘すべきである。

④たまにはちょっと一杯行きませんか?と言うお誘いも必要かもしれない。

⑤人間的に優しい面を持っておられるので、決して決め付けずに熱意をこめてお話

したら理解されるのではないか。

⑥話したことでもし「上手くいった成功事例」が出れば、そのことをどんどん広げ

ていこう、きっと自信を持たれる違いない。

⑦人間は関心を持ってもらいたいと常に思っているものなので、常に声かけを忘れ

ないようにしよう。

まぁこのようなことを申し上げたように思う。少し時間がかかったようだが若手

管理者からその監督職の方が部下の方を上手くマネジメントされるようになった

と言う報告をいただいた。

2010/10/10 07:46 |

2010年10月 1日

気づきヒアリングはMRI(ビジネスサプリメント436号)

お手伝いする企業や団体で各個人の方々と気づきヒアリングすることが多い。

その人の個性に合わせてお話を聴かなければならないから疲れることもしば

しばである。ヒアリングは筆者のセミナーを開いてから、どのように感じたか

を切り口にして始めているが、初対面の方がほとんどで、まずは相手の方は

「この人物は何を聴きたいのか?」とやや警戒気味で臨まれる。自分の言った

ことがトップに筒抜けになるのではと疑われることも多い。しかしこちらが

「建前」でなく「良い意味で本音」を出さないと相手の方も本音を出されない。

まさに人間心理そのものである。経験上7割ぐらいの人は疑心暗鬼だが、お話し

ている内にご自分の本当のお気持ちを出されるようだ。まずは肯定することから

始めるが、「おゃ?」と思うとずばりではなく、投げかけのご質問をすると

お話が深まってうわべではなくなってくる。間違っているなぁと思えばズバリ

「このように考えるべきだ」申し上げることもある。そうするとほとんどの方が

「納得」される。決してテクニックのみで出来るものではないし、過去の

経験や知識など織り交ぜながら申し上げている。女性の方は純粋で的を射たこと

を言われることが多い。考えてみれば過去の職場から積算すると延べ3千人を

超える方々とヒアリングしてきたが、過去はこちらがとっくに切れていた場合も、

最近は歳のせいかぐっと抑えることが出来るようになった。好き嫌いや思い込み

は確かにあるが絶対に排除すべきである。

気づきヒアリングは健康診断のMRIやCTや血液検査のようなものではないかと

感じる。いわば病理の分野ではないだろうか、問題点を整理し繰り返し続けて

精密検査をしなければいけない部分をはっきりさせなければならない。そして

臨床の分野はその組織のトップであり、直属の上司ではないだろうか。それだけ

にヒアリングのスタンスは真剣でなければならない。要は一緒になってその方の

良い部分を伸ばしてあげることに尽きる。

2010/10/01 19:55 |

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