今回のチリ鉱山落盤事故における1人のリーダーの危機管理能力には驚くべきもの
があった。身体的・精神的な訓練を受けていない33人は想像を絶するプレッシャー
がかかったことだろう。地上との連絡がとれなかった17日間の苦痛は計り知れない
ものがある。まずリーダーになった方はグループに分けて班長を決めたそうだ、
このような危機的状況では規律を作り、それを守ることが一番大切なことだと言われ
ている。日経新聞によると心身共に我慢や無理を強いられ、本人も気づかないうちに
ストレスを限界までため込んだ人も多かったようだ。
また奇跡の生還を支えた主な要素として次の5項目が掲載されていた。
①リーダーを中心とした組織だった行動
②地上との密な情報交換や著名人の励まし
③NASA(米航空宇宙局)の助言による規則正しい生活
④JAXA(宇宙航空研究開発機構)も協力した栄養食の摂取
⑤交信でき体調も把握出来る輸送カプセル
このようにいろいろなことの協力体制が整ったことも非常に大きな要因であるが、
何と言っても素晴らしい体力・精神力を持ったリーダーなくしては語れない状況
だったのではないか。また同紙によるとリーダーシップ論に詳しい九州大大学院
の山田教授は「危機的状況では自己犠牲の精神にあふれたリーダーが求められる」
と述べておられ、特に今回のような生死のかかった場面では、どんなに有能な
リーダーでも、配下をこき使うような人の言うことは誰も聞かないと言う。
逆に嫌な仕事はリーダーが率先して受け、成果は配下に優先的に分け与えると
言う姿勢を見せることで「配下は自分たちのことを一番に考えてくれている、
言うことを聞いていれば必ず助かる」と思って指示に従うと指摘されている。
そう!リーダーとは本当に厳しい状態の時に何とか助けてくれると言う存在で
なければならない。後ろ姿を見せられるリーダー、「君に任せる!責任は俺が
とるから」と堂々と言えるリーダーがどれだけいるだろうか。
リーダーとは「土砂降りの雨の高速道路で車が故障した時に駆け付けて修理
してくれるJAFのようなものかもしれない」。
2010/11/01 09:49