人と組織研究所 気づきナビゲーター 高橋貞夫

ブログ

2010年12月 6日

得点マネジメント(ビジネスサプリメント443号)

以前お手伝いした企業で少し気になる中堅男性社員の方とゆっくりお話をする

機会があった。「仕事は面白い?」とざっくばらんに聴いてみたら「仕事に追

いかけられている状態で全くやる気が出ない」とのことだった。よく聴いてみ

ると会議が多く、必ず出来ていないことを指摘される、そうすると「思考停止」

となり頭が真っ白で答えることが出来ず、それが辛いと言う。自分で仕事を抱え

すぎて全てに中途半端になっていないかを尋ねたが、それはなく上手く進んで

いる仕事もあるが、絶対に褒めてはくれないらしい。傷口をぐいぐいと刃物で

刺されているような状況になり、自己嫌悪になってしまうと言うではないか。

大変な状況でありメンタルヘルスも心配になってきた。そのことを良く理解

出来る先輩に伝え話し合いの機会を持ってもらったのを記憶している。

褒める、叱るはバランスであり人によって微妙に違うものである。人間は誰でも

「自分に関心を抱いて欲しいものだ」がこの企業はあまりその傾向が少ないよう

だった。もちろん本人のストレス耐性にも問題があるかもしれないが、指摘

ばかりで無視されることは人間にとって一番辛いことなのだ。つまり減点マネジ

メントからはモチベーションは高まらないのである。従って余計な仕事は避け

ようとするし、大きな仕事にも取り組みたくなくなる。余裕をもって仕事に取り

組めず、もし失敗すればまたまた叱責されると思い込んでしまうものである。

見方を変えて得点マネジメントで、上手くいった事例から問題となった事例を

比較させ本人に「自分で考える」ようにすれば結果は随分と違ってくるのでは

ないだろうか。この方は非常に真剣に考える人だったので、減点マネジメントが

続けば退職される可能性もあったし、そうなれば会社にとってもご本人にとって

も大きなマイナスになる。その人の良いところ、悪いところを上司は把握して

バランス良くマネジメントしていかないと組織を維持することが厳しくなって

くる。幸いこの方は良き先輩と忌憚なく話し合われ新たな気持ちで仕事に取り

組まれるようになった。

2010/12/06 12:29

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