人と組織研究所 気づきナビゲーター 高橋貞夫

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2011年3月 9日

低い自己評価(ビジネスサプリメント454号)

先日の日本経済新聞に「日本の高校生、低い自己評価」と言う記事が掲載されていた。

その記事によると、日本の高校生の多くが「気分が晴れず憂鬱」で「自分に価値がな

い」と考えていることが、財団法人日本青少年研究所などの日・米・中・韓4カ国の

高校生を対象に実施した意識調査で明らかになったそうだ。昨今の異常に厳しい就職

率なども背景にあるのかも知れないが、学校教育においての詰め込みだけではなく、

「人間関係」や「職業感」に対する教育の不足もあるように思われる。同研究所は

「経済の見通しの暗さを含めた将来への不安から、夢や目標が持ちにくいことなどが

影響している」と分析されていた。「この1週間に憂鬱を感じた」と答えた割合は

「よく」「時々」を合わせると日本が46.5%で最多、韓国は21.5%、中国は30.0%、

米国は26.7%らしい。学校教育まで「やらされ感」が蔓延しているのだろうか。

また「寂しい」「むなしい」と感じる割合も日本は高いようだ。日本の生徒がスト

レスを感じる要因は男子が「成績など勉強」で50.9%、女子は「友人関係」が51.2%

で最多だったようだ。教職員のメンタルヘルスがかなり叫ばれているが、生徒の

メンタルケアも必要かもしれない。一番怖いのは「自分が価値ある人間と思うか」

との問いに「全くそうだ」と答えた割合は米国が57.2%、中国42.2%、韓国20.2%

なのに、日本はわずか7.5%であったことは驚きでもある。「まぁそうだ」を含めて

も36.1%と7~8割台だった米・中・韓に比べて自尊感情の低さが目立ったようだ。

誠に憂うべき結果ではないだろうか。

私が新入社員の頃上司から人事考課のセルフチェックで完全はあり得ないと教わった

ことを思い出した。「完全」と思った時点でそれ以上は成長しない、絶えず自己

研鑽に励む努力を怠ってはいけないと教えられた。このような意味での厳しい自己

評価ならば良いが、この調査の結果には危機感を覚える。少子高齢化がますます

進んで行く今日、次世代に夢や希望を持って取り組んでもらう環境作りが急がれる。

2011/03/09 19:31

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