最近東日本大震災における情報伝達のあり方の難しさを痛切に感じることが多い。
正論や事実だけの伝え方や、専門家の情報だけでは聴いてもらう方たちに上手く
受け入れてもらえないような気がする。聴く方たちが何を知りたいのかを把握し、
現場目線で伝えないといけないのではないだろうか。あやふやな返答は余計に不安
感が増すし、誰かの心を動かすには「思い」が入らないといけないように思う。
かなり昔に「人を動かす」「道は開ける」の著者デール・カーネギーの話し方教室
に半年間通ったことがあった。中身は毎回3分間スピーチを繰り返し、「誰の話が
心に残ったのか」を投票し1番の方が賞品をもらえ、講師の簡単なコメントがある
だけだった。私は自分では上手く話せると思っていたのだが、残念ながら1回しか
1番になれなかったことを思い出した。毎回投票の1番になられた方は実例を豊富に、
たんたんと話されたご年配で決して能弁ではない看護師の方だった。伝え方は本当
に難しいものだ。「人を動かす」の著書には人を説得するためには「まずは褒める」、
相手が間違っていてもそのまま伝えてはいけない、人は過ちを指摘されると反発し
否定しようとする、しかしはじめに褒めれば態度が軟化して聴く耳を持つとある。
また「人を動かす秘訣はただ1つしかない、自ら動きたくなる気持ちを起こさせる
こと」を学んだ。私が今行っているヒアリングはまさにこれを実践している、世に
言うコーチングではないだろうか。
「伝える」ことで最近非常に印象的で心に残ったのは、選抜高校野球の創志学園
(岡山県)の野山慎介主将の開会式における「宣誓」ではないだろうか。「私たち
は16年前、阪神淡路大震災の時に生まれました。今東日本大震災で多くの尊い命が
奪われ、私たちの心は悲しみでいっぱいです。人は仲間に支えられていることで、
大きな困難を乗り越えられることを信じています、がんばろう!日本、生かされて
いる命に感謝し正々堂々とプレーすることを誓います」と。被災を受けた地域の方々
から大きな拍手があったが、おそらく全国民が勇気づけられたことだろう。
2011/04/01 07:01