阪神淡路大震災から学んだこと(ビジネスサプリメント458号)
東日本大震災は未だ原発の被害、津波による行方不明者など多くの厳しい現実を
残している。被災地の皆様には本当に心からお見舞い申し上げたい。
16年前の阪神淡路大震災のことを少し述べてみる。5:46の大きな揺れで目を覚ま
した、近くの阪神高速道路が折れ曲がってバスが落ちかけているではないか!
もしお昼であればもっと大惨事であった。まずは人命救助ありき、企業では安否確認
が急がれるが、今のようにネットや携帯は普及していない。幸い広域ではなかったの
で有志によるキャラバン隊を組み避難所の隅々まで巡回し1000人以上の安否確認が
出来たのは2週間後だった。想定外と言う言葉が使われることがあるが、危機管理
マニュアルは通常時に作られたもので、非常時には役に立たないことが多いものだ。
まずは復旧である、物流倉庫で食料品や生活用品の販売を開始した。いわゆるBCP
へのスタートである。不安な社員の方たちには出来る限りの正しい情報開示が必要、
あやふやな発信は不安を増幅させるものだ。避難所で凄いストレスを受けた社員の
方たちには社員寮や近くの保養所を開放した。そして建築審査を含めて復興への
ビジョンを示さなければいけない。将来の姿を明らかにしていかないと「希望」が
無くなる。当然本社に対しての要望事項、近隣店舗へのヘルプ体制など即実行しな
ければならない課題は山積みであった。そんな中にあって働く場所が無くなったわけ
だから、大きな労務問題が生じてくる。期間雇用の非正規社員の方たちとのお互いに
ムダだった労使紛争も長く続き、雇用と言うものはそんなに軽くは無いことを痛切に
感じたのである。また社員の方々は海外まで含めての配置転換を実施せざるを得な
かった。小売であるのでお客様とのお約束商品の確保やお預かり商品のお届けも大き
な課題であった。そのうち被災した社員の中にはメンタル面で不調を訴える人もかな
り出てきた、可能な限りの相談や、医師との連携も大切である。一番大切だと感じた
ことは非常時の人と組織のあり方だった。リーダーには胆力が求められる(自分が動
いてはダメ)・組織はシンプルな方が良い・各々の役割を明確化し共有化することが
大切であることを学んだ。
2011/04/08 09:40