最近の東日本大震災報道で感じることは非常に軽い言葉が多いように感じる。
要は現場目線の無さ、被災地の方々のお気持ちを理解出来ていないからなのだろ
うか。責任者が「一日も早く復興したい!」なんて抽象的な発言をしても、被災地
の方々は「そんなことは解っている!今後の具体的な話を聴きたい」のである。
情報とはタイムリーに具体的に言わないことには何の意味もなさない。しかし初動時
には元気づけることも大事、阪神淡路大震災時に壊滅的被害を受けた職場を見て、当
時の最高責任者は「大丈夫!心配するな、必ず復興する」の一言を言われたことが忘
れられない。今の被災地とは状況が違うとは言え、どれだけ勇気づけられたことか。
以前ある地の中小企業同友会に招かれで「企業理念の浸透」についてのセミナーと
討論会をしたことがあった。企業理念は誠に大切なものである。しかしそれが咀嚼
され現場の行動につながらないと何の意味もなさないのではないかと申し上げた。
例えば接客業において「笑顔で丁寧な応対」を掲げて、笑顔訓練をしても本当に心
からの笑顔が出せるだろうか?要は現場でお客様に対しての感謝の気持ちが持てる
ような風土になっているか、否かが大事であり、一番大事なことは現場言葉で発信し
考えてもらうことではないか。「笑顔で接遇しましょう!」と掲げずに「あなただ
ってお客様!」と簡単なコピーを掲示したことを思い出した。要は「あなたは今
お客様に応対する仕事であるが、あなたもお客様になる時がある、その時にはどの
ような応対をしてもらいたいか」を考えようと訴えた。そうすると自然と笑顔が出て
丁寧な応対をされるようになったのである。
ある有名なホテルで「清潔が一番」と言う理念があったが、その考えを受けて各人が
現場において具体的に「どのようなアクションをするのか」を発表する機会を作られ
たそうだ。ある方は「チリやゴミが落ちていたら必ず拾いポケットに入れる、素晴ら
しいホテルマンのポケットは膨らんでいる」と言われたとか。その話を全員で共有
され実践に移されたのである。抽象的な言葉で人は動かない「現場言葉」の大切さ
を考えるこの頃である。
2011/04/15 11:09