人と組織研究所 気づきナビゲーター 高橋貞夫

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2011年5月20日

組織のいろいろ(ビジネスサプリメント463号)

いろいろな組織体をヒアリングさせていただいて痛切に感じるのは「理想的な組織」

はなかなかないということだ。例えばトップがカリスマ的リーダーシップを発揮さ

れ、メンバーはそれについていくと言うスタイルを良く見ることが多い。このよう

な組織はかなりの組織パワーを発揮することが多いが、難点は「メンバーが指示さ

れないと動かない」と言う弱点を持つことが多い。要は言われたことを完璧に無難

にしておけば良いという風土になって「自分で考える力」と言うものが醸成されな

いのである。従って自分の与えられたミッションに基づいて自分なりのビジョンを

立て、実践し検証していくことが出来ないので、大きくは育たないことが多い。

もしトップがいなくなったらどのようになるのだろうか?このようなトップはナン

バー2を作らない傾向があるようだ。有事の時は有効であるがかなりリスクをとも

なうように感じる。また次に良く見かけるのは上位職が今までやっていた自分の仕事

をそのまま持ち上がり、何でも自分でやってしまう組織も多い。例えが的確ではな

いかもしれないが「課長職なのに係長の仕事を持ち上がり課長と言う名前」になって

いるケースを良く見かける。何故任せないのかと問えば「自分でやった方が早いし、

仕事の充実感がある」との答えが返ってくる。それでは課長職としての役割は果たし

ているのか?と問えば「忙しくてなかなか出来ない」との答えが返ってくる。管理職

がこのような意識では組織崩壊は時間の問題だろうと思う。またやたらと問題を投げ

かけるトップも多いが、結局は結論が出ず、あいまいなままに終わってしまい、メン

バーは「また言っている!」としらけてしまう組織も数多く見てきた。

組織で一番大切なことはメンバーに思い切って「任せ」、自分で考えさせて実践させ、

検証を怠らないことだ。そのことで「人は育つ」ということを過去の経験上からも

実感する。未だ減点主義の組織があるのは不思議に思う、やはり加点主義の評価体制

の下でメンバーの特性に応じた育成計画が今ほど求められている時はないのではな

いか。

2011/05/20 07:06 |

2011年5月10日

大阪が凄い(ビジネスサプリメント462号)

5月4日のJR大阪三越伊勢丹の開業で大阪駅周辺の商業地図が大きく変化しそうだ。

未曾有の東日本大震災後で関西でも消費が落ち込んでいるが「関西の景気回復起爆

剤」としての期待感は膨らむ。でも百貨店の売上はピーク時の7割に満たない現状で、

オーバーストアは否めない事実でもある。梅田地区の主な商業施設を見てみると、

JR大阪伊勢丹5万平米、ルクア2万平米、大丸梅田6.4万平米、阪神5.4万平米、少し

遅れるが阪急8.4万平米などが満ち溢れているのだ。特に各店舗とも均一化せず特徴

を出しているようだが、如何に他店と差別化出来るかにかかっている。大丸梅田店

は脱百貨店を目指しユニクロや東急ハンズなどもテナントとして入れ込んでいる。

JR西日本は大阪への集客を広域に見込んで3月に大幅なダイヤ改定を行い九州や

中四国からの集客を期待しているとか、心配なのは神戸や京都などの顧客が流れ周

辺都市の空洞化である。東日本大震災で冷え込んだ日本の景気を盛り立てる役割を

期待したいと思うが、なぜか一番大切なスタッフのモチベーションについての記事

が掲載されていないことが残念である。商業で一番大切なことは接客にあたる人材

が如何にお客様に満足感を与えられるかにかかっていると言っても過言ではない。

人間心理として新しいものにはすぐに飛びつくがなかなか継続しないし、またお客

様の地域特性の違いは大きいものがある、商品がかなり均一化されている現在、派手

な宣伝や奇をてらったものだけで顧客の共感を得る事は出来ない。今後各店に求めら

れることは「如何にリピーター」を作っていくことが出来るかが大事ではないだろう

か。「あなたがいるからまた来たい(期待)」と思っていただけることが出来るだろ

うか?「あなただってお客様」と言う理念や行動で接客出来るだろうか?今このよう

なことが求められている気がする。「3度の満足」と言う言葉を思い出した、スーツ

をお買い求めのお客様が1度目は店頭で「素晴らしい商品に出会い、丁寧な応対」で

満足、2度目は「お家に帰って買って良かったと」満足、3度目は「そのスーツを着ら

れて他の人から賞賛を浴び」満足されてこそリピーターになられることを忘れては

ならない。

2011/05/10 06:56 |

2011年5月 1日

有事のトップ(ビジネスサプリメント461号)

日本は東日本大震災と言う未曾有の大災害に遭遇し危機管理が問われている。

危機に際しては「指揮命令系統を1つに」「現場が命」「責任者は胆力が必要」

「正しいタイムリーな情報開示」「今後の具体的なビジョンの開示と共有」などが

叫ばれて久しいが、なかなか実際には難しい状況下にある。先日日本経済新聞の

「大震災、日本を立て直す」の特集で新日本製鉄会長の三村明夫氏が「危機になっ

てリーダーが力を発揮するというのはとんでもない、平常時にどんなリーダーで

あったかが危機のときにはっきりするということだ。現場の状況が分からなければ

トップといえども指揮のしようがない。日ごろから現場を鍛え、信頼し、彼らの

やることを認める体制ができていれば命令しなくても現場が見事に対処するものだ」

と述べられていた。評論家は結果からしかものを言わないのでうんざりすることが

多いが、ご経験から生まれた誠に素晴らしい言葉ではないだろうか。危機の時トッ

プは動いてはダメと言われるのは当然だが、動いても良い組織が出来上がっておれ

ば問題はないのではないと感じる。

最近の有事の時や不祥事の時によく使われるトップの言葉の無責任さやあいまいさ

の言葉を考えてみた。まずは「遺憾に思う」、これは「思い通りにことが運ばず誠

に残念である、期待したようにならずに心残りに思う」と言う意味なのだろう。

非常に綺麗に聞こえるが「あなたの責任は?」と問いたくなる。

また「真摯に捉え」、これは「まじめでひたむきに、軽くは考えていません、現在

懸命に対応しています」と言う意味なのだろう。またまた綺麗に聞こえる言葉だが

「当たり前でしょう!」いまさら何を言っているの?と捉えたくなる。

また「~ところであります」をよく耳にする。今継続して懸命に取り組んでいます

よ!と言うような響きに聞こえるからだろうか。

危機の時のトップの一言は抽象的なものであってはいけない、現場目線でどれだけ

「納得出来る言葉」が発せられるかが問われているような気がする。

2011/05/01 07:05 |

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