人と組織研究所 気づきナビゲーター 高橋貞夫

ブログ

2011年5月 1日

有事のトップ(ビジネスサプリメント461号)

日本は東日本大震災と言う未曾有の大災害に遭遇し危機管理が問われている。

危機に際しては「指揮命令系統を1つに」「現場が命」「責任者は胆力が必要」

「正しいタイムリーな情報開示」「今後の具体的なビジョンの開示と共有」などが

叫ばれて久しいが、なかなか実際には難しい状況下にある。先日日本経済新聞の

「大震災、日本を立て直す」の特集で新日本製鉄会長の三村明夫氏が「危機になっ

てリーダーが力を発揮するというのはとんでもない、平常時にどんなリーダーで

あったかが危機のときにはっきりするということだ。現場の状況が分からなければ

トップといえども指揮のしようがない。日ごろから現場を鍛え、信頼し、彼らの

やることを認める体制ができていれば命令しなくても現場が見事に対処するものだ」

と述べられていた。評論家は結果からしかものを言わないのでうんざりすることが

多いが、ご経験から生まれた誠に素晴らしい言葉ではないだろうか。危機の時トッ

プは動いてはダメと言われるのは当然だが、動いても良い組織が出来上がっておれ

ば問題はないのではないと感じる。

最近の有事の時や不祥事の時によく使われるトップの言葉の無責任さやあいまいさ

の言葉を考えてみた。まずは「遺憾に思う」、これは「思い通りにことが運ばず誠

に残念である、期待したようにならずに心残りに思う」と言う意味なのだろう。

非常に綺麗に聞こえるが「あなたの責任は?」と問いたくなる。

また「真摯に捉え」、これは「まじめでひたむきに、軽くは考えていません、現在

懸命に対応しています」と言う意味なのだろう。またまた綺麗に聞こえる言葉だが

「当たり前でしょう!」いまさら何を言っているの?と捉えたくなる。

また「~ところであります」をよく耳にする。今継続して懸命に取り組んでいます

よ!と言うような響きに聞こえるからだろうか。

危機の時のトップの一言は抽象的なものであってはいけない、現場目線でどれだけ

「納得出来る言葉」が発せられるかが問われているような気がする。

2011/05/01 07:05

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