東日本大震災の発災以来世の中は危機管理が声高に叫ばれている。今夏は原発再
稼動の見直しなどもあり「節電」と言う大きな問題も惹起している。16年前の阪神
淡路大震災のことを思い起こすが、まさか関西に地震なんてと思っていたのである。
しかしその「まさか!」が怖い。あの時建物は壊滅、インフラも全滅、信じられな
いような世界だった。このような状況下において最近は「危機管理セミナー」が数
多く開催されているし、特に企業などのBCP(事業継続計画)について大きくクロ
ーズアップされてきた。私も危機管理セミナーをすることがある。BCPについての
教科書的なお話は出来ないが、過去の震災体験などから数多くの失敗事例をお話し、
少しでも危機感を醸成してもらうことは出来る。先日ある会に招かれお話をさせて
いただいた時のことである。主旨は危機管理マニュアルの話ではなく、危機を経験
しいろいろな状況に直面した時どのような対応をしたのかを話して欲しいとのこと
だった。また「まぁ何とかなるのでは!」とか「怖いがまさか!」と言う意識を変
えて、地域ごとにまとまって出来る対策を立てて行きたい、「BCPシート」を作っ
ても何か形だけに終わりそうで、もっと危機に対する基本的な考え方が先に来ない
ことには「絵に描いた餅」になるとも言われた。そこで阪神淡路大震災時の一連の
対応策や、倒産と言う危機を乗り越えたことなど赤裸々にお話をさせていただいた
のである。最終的には「起業の理念」を平常時に如何に全ての従業員に具体的に
「現場言葉」で徹底し行動出来るようにすることが大切では無いかとお話した。
そうすると後日ある方から次のようなメールをいただいた。「やはり体験談は凄く
響く、現在は大丈夫だろうとか、何か起こってみなければ分からないと言う気持ち
が大きいが実際の話を聞いたらこのままではいけないと言う気持ちがふつふつと湧
いてきた」とのお礼の言葉だった。「災害は忘れた頃にやってくる」を肝に銘じて
「備えあれば憂いなし」にしていきたいものだ。
2011/07/01 06:59