最近長谷川英祐氏著の「働かないアリに意義がある」を読んだ。会社の利益の8割
は一部優秀な2割の社員が生み出していると言ういわゆる「2・8の法則」、別名
「パレートの法則」とも呼ばれている内容を思い出した。この法則がアリの世界
にも存在しているという理由を実にはっきりと解説されているのだ。
働きアリの7割は休んでいるし、2割にいたっては働かない、1割は一生働かないと
言うではないか。働かない2割を排除しても今まで働いていた残りのアリの2割は
また働かなくなるらしい。何故なのか、この本には交替要員のためなのだと指摘
している。全員がいっせいに働いていると、同時に全員が疲れてしまうし、誰も
働かなければ組織は致命的なダゲキを受けるので、組織維持のために合理的な
システムが出来上がったらしい。私はあるセミナーで2割の優秀な社員、6割の普通
の社員、2割のパットしない社員がいる現状の中で「どのようにすれば良いか?」
と言う質問を受けたことがある。「6割の中でも優秀な2割を意識的に増やせば」と
お答えしたことを思い出した。また「みんな働く意欲は持っており、状況が整えば
立派に働く」ともある。人はムシの生き方から様々に教わることがあると言えるの
ではないだろうか。この本は効率追求の世界に一石を投じたような気がする。今回
の未曾有の東日本大震災で各種部品不足が生じたが、在庫を抱えると言うムダと思
われる部分も大切な時があることが証明されたのではないだろうか。
話は変わるが「リンゲルマン効果」と言う面白い実験がある。これは綱引きの実験
で1対1の時、人は持っている力の100%を出すが綱引きの人数がある一定の人数に
なると、無意識に力を抜いてしまうらしい。何とその人数が8人で約半分の力になる
と言う。要は組織には無意識の手抜きが生じているというものだ。東日本大震災の
危機の時、見事な対応をされたディズニーランドも会社の大切な優先順位は「安全」
「礼儀正しさ」「ショー」そして「効率」と位置づけているではないか。組織には
「効率」だけではなく「アソビ」や「バッファー」がなければならない、余裕を失
った組織がどのような結末に至るのかは私自身身をもって体験している。
2011/07/17 07:32