人と組織研究所 気づきナビゲーター 高橋貞夫

ブログ

2011年8月 1日

気づき(ビジネスサプリメント471号)

以前お手伝いした企業で30歳代のまだ若手男性社員の方を思い出した。

彼は仕事に対する意欲がなく、言われたことだけを処理すれば良いと言う考え

方で、余計なことは口を挟まないのが一番良いことなのだと思い込んでいた。

この方と計5回の個別ヒアリングをさせていただいた時のことである。最初の

数回は全く聞くスタンスがなく、変わろうとはされていなかった、そこで

「自分の人生設計やキャリアプラン」について一緒に考えようと言うスタイル

に変えていったのである。会社のためではなく「自分のため」に考えるように

仕向けたら、どうして彼がそのような考え方になったのかを率直に話されるよ

うになった。以前に上司とぶつかり、いろいろとものを言ってきたが、ガツン

と言われもう言ってもムダ今更転職も出来ない、辞めさせられることはないので

楽に仕事をしようと思い込み始めたらしい。まるで学習性無力感(水槽にカマス

を入れて透明の仕切り板を真ん中に差し込み、仕切り板の向こうには餌を吊るす

とカマスは食らいつきに行くが板で取れない、何回行ってもダメと言うことを

思い込み、仕切りが取れても行かなくなる)に犯されていたのである。もちろん

職場の雰囲気も育てると言う風土がやや欠けていた。彼に「あなたは外部で

通用する力があるのか?」と問いかけてみたら、自分には何もない、このままで

は人生を無駄にしてしまうと感じ始めた。言われるのを待っているのではなく、

自ら動いていかないことには自分のものにならない、自分を高めることが結果と

して組織から認められるのではないかと考え方に徐々に変わり始めた。今までは

地位なんてどうでも良いと考えていたが、より大きな仕事をするためには良い

意味での上昇志向が無ければならないとも感じたらしい。上司に彼の様子を尋ね

ると、この頃積極的になってきたとのことだった。今彼はリーダー職になり、

現場に入り込んで伸び伸びと仕事をされているようだ。やはりレディメード型の

ヒアリングよりも、個人にあったオーダーメイド型ヒアリングを根気よく続ける

ことで「人は変わる」のである。

2011/08/01 05:57

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