個人別ヒアリングをしていて一番情けないと思うことは、部下の手柄は自分の
手柄、自分のミスは部下のミスと言うマネジメントをする上司がかなりいると
現実である。ある時に聴いた次のような話がある。部下が懸命に努力して準備し
ほぼ見通しがついた案件があった、今まで何にも言わなかったしアドバイスも
なかった上司が急に動き出しいかにも自分が成約したごとき振る舞いで相手先に
顔を出したそうだ、そして部下に上手く行ったので後は頼むと言うではないか、
驚いた部下は急にヤル気がなくなり上司に対する信頼感も全く無くなったとか。
またある議案で部下から決済があがったので上司は承認印を押した、その後検証
の結果は没案件となったが、上司は部下を責め立てたとか。上司としてあるまじき
行動であり論外であることは言うまでもない。他のメンバーに聴いてみるとほぼ
全員が上司の批判、面従腹背しているとのことだった。
先日の日経新聞の社説に「創造へのバネを」と言う項目で復興構想会議の五百旗
頭議長が披露された終戦時のピソードが掲載されていた。ハワイ州の知事をつとめ
た方が昭和20年、廃墟の東京にやってきた。暮れに有楽町の高架下から街角を歩い
ていて、少年に靴磨きをしてもらった。心を込めて一生懸命にやってくれたので
感心し、兵舎に戻ってパンにバターとジャムをいっぱい塗り、少年にプレゼント
しようと引返して「これを君にあげるよ」と手渡したそうだ。腹ペコだからその場
でかぶりつくかと思ったら、7歳という少年はそのまま風呂敷にしまった。「なぜ
食べないの?」と聞くと「家に3歳の妹が待っていますから」と答えたそうだ。
わんぱく盛りの男の子が、ひもじさを我慢して、妹のためにパンを持ち帰ろうとす
る姿に感銘されたのである。その方は「物としての日本は壊れたが、日本人の心は
失われていない、必ずや日本民族はよみがえる」と確信されたとのこと。同じ日の
朝日新聞に自らも奥様が犠牲になられた岩手県陸前高田市長の戸羽太さんの記事が
掲載されていたが何よりも心にやきついたことは市長が「自分が被災者なら」と考
えて欲しいと言われていることだった。そう最初の話の上司も「自分が部下の立場
だったら」を考えることが出来なければ、この組織の崩壊は目に見えているような
気がする。
2011/08/19 07:46