人と組織研究所 気づきナビゲーター 高橋貞夫

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2011年9月20日

偽りの自分(ビジネスサプリメント476号)

個別にヒアリングをしているといろいろなことが見えてくる。ある若手で元気の

良い方の悩みは深刻だった。何時も思ったことで「おかしい?」と感じることは

即口に出し言ってしまう性格らしい、そのことが上司からはうっとうしく嫌がら

れていると告白されたのである。そして今は自分を殺し、気づいても言わず、た

だ黙々と仕事に取り組んでいると言うではないか。上司から元気がないねと言わ

れたら「まだまだ実力がなく勉強の毎日です」と答えているらしい。その方に

「本当にそれで良いのか?」と聞いてみたら「仕方がない、今の組織で仕事をし

ていくためには」と言われる。そこであなたの言い方や言うタイミングがおかし

いと考えたことはあるのか?もしあなたが上司だったらどのように思うか?を

一度考えてみようと申し上げた。自分の良いところを抑えていては自分が損を

する、ネガティブに考えずに前を向いたらと諭したことがあった。その後は徐々

に明るくなられ、組織の中での自分の立ち位置が段々と理解出来つつあるとのこ

とだった。

またあるチームではトップになられた方が悩んでおられた。自分の部下に自分よ

り年上の方がおられ、その方は自分が入社した時に仕事を教えてもらった恩のあ

る方と言われるではないか。先輩の方も昔のことが頭から離れず、ついつい強引に

意見を通されるようだ。トップの方も黙認され何も言われない状況、メンバーか

らはトップが非常に頼りなくかなりの不満も出ていたのである。

そこでトップの方に聞いてみたら、先輩には言いにくく「それはおかしい」と

思っても黙っているとのこと。これは深刻な問題で、組織のトップはあなたなの

だ、感情的にならずに自分の考えを通していかないと組織はなりたたないとアド

バイスし、先輩もあなたをバックアップしようとされているかも知れないから、

一度ゆっくりと話し合うべきと申し上げた。そうしたらお互いに思っていること

がかみ合っていなかったらしい、その後はトップの方から先輩が真のサポート役

として頑張っていただいていると言うご報告をいただいた。偽りの自分の姿で

組織を生きていくことは誠に難しいと思う昨今である。

2011/09/20 07:01 |

2011年9月10日

モチベーション(ビジネスサプリメント475号)

先日ある組織で個別気づきヒアリングをしていた時のことである。何でも聴いて欲

しいと言う私のリクエストに対して、ある若手男性の方から「高橋さんのモチベー

ションってどこから湧いてくるのですか?」と質問された。人のモチベーションア

ップのために毎月30人を超える方々の1時間に及ぶ個別気づきヒアリングをしている

私にとっては正直びっくりした。モチベーションとは「動機付け、ヤル気」などと

訳されているが、彼から見れば「1時間もいろいろな方の声を真剣に聴いて相当疲れ

ると思うが、何故そんなにしんどい仕事をされているのですか?」と言う意味だった

だろう。そう言われると「ウーン」と一瞬考えてしまった。長年の人事経験から実際

的な事例をナビゲートすることで「気づいて」いただければと思い始めたが、もう延

べ4000人になろうとしている。最初の頃はビジネス的な考えだったかもしれないが、

最近は「その人が本当に笑顔で良かった」と思っていただけることが生きがいになっ

ているように感じるので、そのようにお答えした。

モチベーションを考える上では「ハーズバーグの動機付け衛生理論」を思い出す。

ハーズバーグはいろいろな職種の構成員の中から仕事中に満足・不満足を感じた

時はどのような状況だったのかを質問してその要因を調べ上げた。2つの要因があり、

まず「動機付け要因」と名づけたものは「達成感」「他者からの評価や承認」「満足

感や成長」などがある。もう一つは「衛生要因」と名づけ「労働条件」「身分」「環

境」などがある。要は衛生要因が満たされても不満足が減少するだけ、動機付け

要因が満たされないと満足は増加しないと言う。私の個別ヒアリングでは「昇給も

昇格」も出来ないが、「個人の気づき」により仕事に「達成感」を持っていただく

ことこそが目的なのである。いろいろな方がおられ、ホンネを引き出すのは最初の

20分ぐらいはこちらも「ホンネ」を出さないといけない、「嫌だ」と思えば相手も

「嫌だ」と思うのである。最近は私自身が「ますます熱くなって」しまうが、それ

に応えて気づいていただいた時の達成感は何者にも変えがたい。何故以前にそのス

タンスになれなかったのか悔やまれるこの頃である。

2011/09/10 07:07 |

2011年9月 1日

気づきマネジメント(ビジネスサプリメント474号)

メンバーに「やらされ感」から「達成感」へとナビゲートしチーム力を発揮させ

る「気づきマネジメント」が大切なことは言うまでもない。メンバーのモチベー

ションを高め「自ら判断出来る裁量を与えて自ら行動出来る人材育成」を如何に

していくかを、ある時中小企業経営者の方々にお話をしたことがあった。

その時若手経営者から「部下に対して気づく力をどのようにして醸成したら良い

か?」と言うご質問を受けた。ノウハウではなく「経営者の熱いハート」である

とお断りして次のようにお話をした。

1.まずは部下に関心を持とう、関心を持たれた部下はヤル気も出てくる、「関わ

 っていく気持ちが関心」につながる、そうすれば相手のことが見えてくるのでは

 ないだろうか。

2.声かけを怠らずにしていこう、あいさつもその後に続く「一言」を工夫してい

 こう、声かけをすることで相手の変化に気づくではないだろうか。

3.同じ目線になって考える癖を付けていこう、自分の価値観を押し付けてはいけ

 ない、たまには一緒に汗をかくことも必要かもしれない、そのことによって今

 まで見えていなかったことも見えてくることがある。

4.有言実行を守ろう、トップは言いっ放しが多く、言うだけで何もしないことが

 多い、部下はその姿を素早く見抜き「どうせ言うだけ」と思い込みカベを作って

 しまい、大きな溝が出来たら気づくことも出来ない。

などなど具体事例を交えてお答えしたことがあった。指示命令だけでは成果も限ら

れているし何よりもモチベーションが高まらない。

例えば「笑顔でていねいに接客しよう!」では実践ではなかなか出来ないことが多

い。「チーズなどと言ったつくり笑顔」はすぐに見抜かれることが多いのではない

だろうか。そこで「あなただってお客様」と言うコピーを作り、もしあなたがお客

様だったら、急いでいる時はスピーディに正確に応対して欲しいだろうし、ゆっく

りしたい時はていねいに心からの笑顔で応対して欲しいだろう、それを「自分で考

えて自分で実践していこう」と方向づけをして成功したことがあった。この変化の

激しい時代こそ「基本は守り自ら判断し行動出来る集団づくり」が最も求められて

いるように感じる。

2011/09/01 06:44 |

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