先日ある組織で個別気づきヒアリングをしていた時のことである。何でも聴いて欲
しいと言う私のリクエストに対して、ある若手男性の方から「高橋さんのモチベー
ションってどこから湧いてくるのですか?」と質問された。人のモチベーションア
ップのために毎月30人を超える方々の1時間に及ぶ個別気づきヒアリングをしている
私にとっては正直びっくりした。モチベーションとは「動機付け、ヤル気」などと
訳されているが、彼から見れば「1時間もいろいろな方の声を真剣に聴いて相当疲れ
ると思うが、何故そんなにしんどい仕事をされているのですか?」と言う意味だった
だろう。そう言われると「ウーン」と一瞬考えてしまった。長年の人事経験から実際
的な事例をナビゲートすることで「気づいて」いただければと思い始めたが、もう延
べ4000人になろうとしている。最初の頃はビジネス的な考えだったかもしれないが、
最近は「その人が本当に笑顔で良かった」と思っていただけることが生きがいになっ
ているように感じるので、そのようにお答えした。
モチベーションを考える上では「ハーズバーグの動機付け衛生理論」を思い出す。
ハーズバーグはいろいろな職種の構成員の中から仕事中に満足・不満足を感じた
時はどのような状況だったのかを質問してその要因を調べ上げた。2つの要因があり、
まず「動機付け要因」と名づけたものは「達成感」「他者からの評価や承認」「満足
感や成長」などがある。もう一つは「衛生要因」と名づけ「労働条件」「身分」「環
境」などがある。要は衛生要因が満たされても不満足が減少するだけ、動機付け
要因が満たされないと満足は増加しないと言う。私の個別ヒアリングでは「昇給も
昇格」も出来ないが、「個人の気づき」により仕事に「達成感」を持っていただく
ことこそが目的なのである。いろいろな方がおられ、ホンネを引き出すのは最初の
20分ぐらいはこちらも「ホンネ」を出さないといけない、「嫌だ」と思えば相手も
「嫌だ」と思うのである。最近は私自身が「ますます熱くなって」しまうが、それ
に応えて気づいていただいた時の達成感は何者にも変えがたい。何故以前にそのス
タンスになれなかったのか悔やまれるこの頃である。
2011/09/10 07:07