人と組織研究所 気づきナビゲーター 高橋貞夫

ブログ

2011年10月20日

えんぴつ(ビジネスサプリメント479号)

先日知人から聞いた話である。彼もいろいろと講演活動をされているのだがある

組織でのこと、何と開始30分前に参加者全員の机の上にレジュメと鉛筆2本とA4

用紙が3枚置かれていたらしい。彼は皆さんノートや鉛筆かシャープペンを持って

来られないのか担当者に聞いたそうだ。そうすると昔からこのようにしているとの

答えに唖然としたとのこと。何かおかしい!私が2度目に勤務したベンチャー企業

では自席には新品のPC1台のみ、それも社内販売で給与から天引きされる、引き

出しには何も入っておらず、必要なものは自分で揃えよとのこと。その時は仕方

なく文房具屋に行き必要なものを全て買い揃え、ゴミ箱まで買ったのを覚えている。

なんて言う会社だ、備品を自分で買い揃えるなんて考えられない、しかも給与天引

きとは!初めての職場では新人社員が入った時は組織図と社内電話表が机のガラス

面の下にひかれ、引き出しにはボールペンや鉛筆、消しゴムやホッチキス、集計用紙

がきっちりと揃えられていたのである。今から考えると企業ではなく起業マインドの

入り口を教えてもらったと思っている。講演に鉛筆や用紙を揃えている感覚が理解

出来ない。しかし長年そのようなことに慣れてしまうとそれが当たり前、何もおかし

いとは感じなくなってしまうものである。私もベンチャー入社時は「ここはそんなに

お金がないのか?」とも思ったことが恥ずかしくなってきたのはいろいろと異次元を

体験した1年後だった。即ち「ゆでガエル」になっていたのである、組織の中に甘え

が出て、自立マインドが欠落した自分があった。仕事においても主語は「上司や会社」

であり、決して「自分」ではないのではないか。改革や変革がうたわれて久しいが

まずは「自立マインド」「自律マインド」の醸成ありきで、手法やスキルでは決して

ないことは自明の理である。私が独立した時に痛切に感じたが「会社」は「自分」

なのである。変化の激しい今、組織内で自立した自分づくり、自分のことは自分で

しなければ始まらないと言うことを肝に銘じないといけない時が来た。

2011/10/20 07:20

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