先日の日経新聞、「選球眼」と言うタイトルでスポーツライター浜田昭八氏のコラ
ム「地獄をみた選手の再挑戦」を目にした。今年もプロ野球の戦力外通告がなされ
たようである。企業で言えば指名解雇と同じ、以前数百名の退職勧奨をした経験と
その後私自身も間接的戦力外通告をされた時のことを思い出した。
今年も再起に向けての狭き門、公開入団テストであるトライアウトが行われたよう
だ。野球一筋の人生で全く違う道を歩むのは誠に厳しいものだろう。ビジネスマン
は同じような仕事は探せば見つかる可能性がまだあるが、野球となると全く違う分
野になってしまう。記事によると今年の参加者は59人、昨年の33人を大幅に上回っ
ているではないか。その中にダイエーから日本ハム、そして阪神と経験し、のらり
くらり投法と呼ばれた43歳の下柳剛投手もおられたようだ。育成選手やMVPを獲得
された選手もおられ年齢も野球暦も違う多くの選手が参加された。各球団の編成担
当者が見守る中、37投手が4打者にカウント1-1から投げる実戦形式のシート打撃、
打者は違う投手を相手に数本打てるが、投手は物足りない、下柳投手は4人に6球を
投げただけらしい。同じ戦力外でもめぼしい選手は個別に他球団と入団交渉してい
るとある。ここへ参加した選手は、総体的に投球にキレがなく、スイングは鈍いら
しい、何と失望したのか途中で席を立つ球団関係者がおられたとか。ケガに悩んだ
阪神の桜井広大選手は「チームを選べる立場でないし、声をかけてくだされば、
どこでもやる」と言われたそうだ。昔元南海の穴吹選手の「あなた買います」を
思い出したが「私を買って」になってしまったのである。まさにプロは実力がなく
なれば必要がないと言う厳しさと戦っている。そう「ぶら下がる綱はない」のであ
り、自分で綱を作らねばならない。欧州危機や円高が叫ばれる時、2013年春入社を
目指す大学3年生の就職活動が12月1日から本格化する。説明会が集中したりネット
採用が進化したりする時代、生半可な気持ちで臨んで欲しくない。これからはプロ
になると言う自律・自立マインドが今ほど求められる時はないと感じる。
2011/12/01 18:08