人と組織研究所 気づきナビゲーター 高橋貞夫

ブログ

2011年12月 9日

精神交互作用(ビジネスサプリメント485号)

マネジメントにおいて「思い込み」ほど怖いものはない。ある出来事で全てを決め

つけてしまうことはないだろうか?例えば「簡単なミスを起こせば、彼はミスを起

こす人間」と決めつけてしまう、人事考課における「ハロー効果」と呼ばれるもの

がその一つではないか。そうすると日経ビジネスにドクターである高野知樹氏が掲

載されているコラムに出会った。「気にするほど、症状は続く」と題して「精神交

互作用」と呼ばれるものを紹介されていた。内容はココロの処方箋で、病状を気に

するあまり、何時までも症状を自覚し続けてしまうと余計におかしくなるというも

のだ。事例として学生時代に体育会系のクラブ活動に熱を入れ体力に自信があった

方が、ある年の健康診断で不整脈を指摘された。それ以来通勤途上で階段を上った

時の胸の違和感が気になるようになり、夜は布団の中で、心臓の鼓動が調律を乱し

ているのでは、と気になってなかなか寝付けなくなってしまう。内科で精密検査を

受け、異常所見は指摘されなかったが、胸の違和感は相変わらず続いて気が気では

ないというものだった。要は過度に注意を集中することによって、その感覚が研ぎ

澄まされていき、感知するセンサーがどんどん鋭敏になっていくと掲載されていた。

とらわれ感は場合によりマイナス思考につながっていくことがあるのではないだろ

うか。ココロの持ち方を変えることで感じ方も変わってくる、小さな時計の音でも

気にすると大きな音に聞こえてくる、このような現象を「精神的交互作用」と呼ぶ

そうだ。自分のキャリア形成において、あるいはマネジメントにおいて「精神的交

互作用」は出てきていないだろうか?キャリアにおいて失敗は大きな成功へのステ

ップ、部下育成においては出来ていないことに注目するより、出来ることに光を当

てて大きく伸ばしてあげることが必要ではないか。多くの失敗を経験した私も「精

神交互作用」に陥ったことがしばしばあったが5つの(あ)あきらめない・あわて

ない・あせらない・あなどらない・あてにしない をココロにおいて何とか乗り切

ったことを思い出した。

2011/12/09 09:39

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