年初の日経ビジネスに「なでしこジャパン」の佐々木則夫監督のコメントが掲載
されていた。昨年のFIFAの女子世界最優秀選手に沢穂希選手、そして女子チーム
世界最優秀監督に佐々木監督が選ばれたことは明るいニュースであった。
佐々木監督は今日本のリーダーで最も注目されている方ではないだろうか。
彼は次のように述べておられる。「分かってくれないと、相手に責任をなすりつけ
ているようではいけません、マネージャーである私自身の考えが間違っていること
もある。その際、監督が間違っていると、選手が言ってくれる。そこで、自分の
問題に気づかされます。真っ当な指摘であれば、当然受け入れる。選手の言動に
よって監督が学ぶことはたくさんあるのです。部下が、間違っていると素直に言
える体制作りは必要ですね。トップの過ちを部下が言える風通しの良い環境が、
お互いにとっての信頼関係を構築する条件になるからです。経験が豊富な指導者
とはいえ、下の意見をないがしろにしてはいけません。何も言えない空気になれ
ば、選手ばかりか、上司である本人の成長も望めません」と。
何時も私がお話している内容の核心を付かれた発言だった。まさに「現場こそ命」
であり机上の空論では崩壊と言う危機が口を開けて待っているのだ。今でも私自身
がトップになった時に本当に現場の真の意見が伝わってきたのだろうかと反省する
ことが多い。何でも言えるなんて嘘、それは形だけと言う見方もあるかもしれない
が、やはり生き残れる組織とは「気楽にまじめな話が出来、異論の場合は必ず自分
の考えが述べられる風土」が必要となる。「聞いていない」と言うリーダーは自分
の姿勢に問題はないだろうか。「面従腹背」ではどこかで綻びることは自明の理、
部下の立場で「NO」と言う勇気の大切さ、上司の立場で「聴く」度量を持たないと
いけないことを経験したからこそ、イエスマンばかりの組織は大きくつまずくと言
い切れる。なかなか結論が出ず先送りする、強引に納得させずに引っ張っていくな
どの事例が多いのは、世の中の閉塞感が蔓延しているからであろう。但し真の危機
のときは力強いスピーディーなリーダーシップが求められることは言うまでもない。
2012/01/21 20:33