人と組織研究所 気づきナビゲーター 高橋貞夫

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2012年2月25日

クレーム(ビジネスサプリメント495号)

最近クレーム対応のセミナー依頼が増えてきた。世の中が不景気になればなるほど

クレームは増えてくるように思う。私はあるべき論ではなく実際に経験した事例か

ら考えるようなお話をさせていただいている。そして一番大事なのはクレームも単

なる対応方法だけではなく、クレームを出さない職場風土作りが大切であると申し

あげている。クレームの話の前提はお客様のご期待にそえなったから起こると考え

たい、従ってクレームはお客様のニーズを把握出来ていなかったから起こるので、

それをチャンスに変えて活かしていかないと、もったいないのである。先日ヤマト

運輸の瀬戸会長のクール宅急便誕生のお話を聴いた。誕生前は生ものの配送で、

お届けしたら腐っていたと言うクレームがかなりあったようだ、そこで何とか冷凍

して運べないだろうかと考えたが、費用もかかり難しい、そして件数的にもそんな

に多くはないと言う結論が出た。しかし宅急便生みの親である小倉昌男氏は「冷凍

で運べる車がないから件数が少ない、その車を実現すれば飛躍的に配送件数が増え

る」と示唆され、今日のクール宅急便が生まれたらしい。まさにクレームはお客様

のニーズの裏返しなのである。クレームは①来店される②お電話③お手紙④メール

の場合が考えられる、私の前職時代にはメールなんて考えられなかったが、最近は

多いようだ。先日セミナーである方から「メールでクレームが来ればどのように対

応したら良いだろうか?」とのご質問を受けた。メールで送り返すと言うのもおか

しいかもしれない、そこで「メールで先方の連絡先を確かめて場合により、お電話

なりお伺いするなり、デジタルの対応ではなくアナログ対応も必要ではないだろう

か」とお答えした。但し接点を持ちたくないと言う方もおられるので、正解はない

とも付け加えた。ことほど左様にクレームは難しい、対応は個人ではなく組織とし

て対応すべきであり、逃げてはますます解決が遅れるものである。私の経験上恐ろ

しいのは「サイレントクレーマー」である、物言わず黙って去っていき、二度と近

づかれないのは厳しいものがある。またサイレントクレーマーは周りの知人の方々

へその悪評を流され、どんどん広がる可能性がある。クレームがないと安心してい

ることが一番恐ろしい。

2012/02/25 15:24 |

2012年2月17日

現場力(ビジネスサプリメント494号)

清水勝彦氏が日経新聞にウエルチ著「ウィニング」の解説文を掲載されていた。

その中で「パワーポイントで作られた大きな分厚い報告書を作ると、仕事をした

ような気分になる。だが戦略を複雑にしてしまってはいけない」と言う箇所があり、

「あ、そうか!」(A big aha!)が大事とあった。まさに「気づき」のポイントで

ある「あれ、おかしいな?」→「さて、どうしよう?」→「あっ、そうなんだ」の

サイクルと同じことが書かれていた。先日ご支援している企業様で毎年継続されて

いる「気づき提案」の表彰式に参加した。製造現場の社員やパート社員の方々数百

名が参加されている。今までで何と1700件を超える提案があったそうだ、そして

事務局で審査し、経営レベルで優秀賞を決められている。今年も十数件の表彰が

あった。少しご紹介すると「製造現場では全員マスクをかけているが、耳にかける

ので痛くなり、帽子をかぶるからかけにくいとの問題点が出された、そこである人

がマスクを改良してゴムひもを頭の後ろからかけられるものに改良すれば?」と言

う提案を出された。改良版で実践すると装着の時間も省けて、耳の痛さもなくなる、

またわざわざ帽子をさわり耳にかける手間も省ける、そして何よりもマスクのコス

トがダウンすると言うのである。年間数万円の費用削減が出来るとのことで、実践

の効果は抜群、今までの問題点が解消されたらしい。また「コロコロ=(粘着テー

プでホコリを取る)を使うことが多いが、ミシン線ではがしにくく、時間がかかり

非常に手間である。そこで斜めのカットタイプにしたらどうか」と言う提案があり、

導入されたらしい。またまたこれも時間が年間で数十日分の削減になり、費用も

十万近く削減出来ると言うではないか。お話を聞いていて「なるほど!」と納得

するものばかり、製品の品質や製造のスピードもアップするものと確信出来た。

その方々にはトップから表彰され皆さんのモチベーションも盛り上がる、運営は

若手の社員の方々でイキイキ進行されていた。そう「品質向上、スピードアップ」

と声をかけても実践にはなかなか移せないものだが、このように全員が考えること

を癖付け出来れば「やらされ感」は全くなく「達成感」の連鎖が起きるのである。

付け加えればこの企業は厳しい状況下でも素晴らしい成果を残されている。

2012/02/17 07:06 |

2012年2月 7日

嬉しい便り(ビジネスサプリメント493号)

先日ご支援していたところのメンバーから嬉しいお便りをいただいた。彼は好き

嫌いがあり思い込みが激しく、周りから誤解されることが多かったし、自己中心

的で組織の中では評価されていなかった。40歳代の半ばで組織では中堅どころで

あったが、過去何人もの上司ともぶつかる、そして周りからは変わり者と言われ

ていた。私と何回かヒアリングをしてみたが、全て他責にする傾向が強い、そし

て内にこもり自分を出さなくなってしまう。最初の数回は彼の言うことを否定せ

ずに良く聴いてあげた、しかし聴くだけでは解決にならない。いろいろと指摘し

改善するように示唆を続けていったが、また配置転換となりそこでも周りのメン

バーと協調できず、私に悩みの連絡が続いたのであった。ある時これが最後だと

言い、真剣に彼の問題点を整理していった。まず自分自身が周りから認められる

業務能力をつけているのか、もし不安な部分があれば必ず努力してマスターし周

りに「さすが!」と思わせること、人の意見を良く聴く耳を持つべきで、もし相手

の立場だったらどのように感じるかを理解出来るようになるべきだと。何か上手く

いかないことがあれば、他責にせず自分の振る舞いがどうだったのかを反省すべき

とも付け加えた。私とお話していると笑顔もあり、話易い雰囲気だが、職場では何

だか難しい顔をしていないだろうかと、厳しく真剣にお話したのである。

要は「あなたが変わらなければ、周りは変わらない」周りに問題をぶつけても何ら

前へは進まない、もう私の最後通告だよと申し上げた。彼はその時、こんなに厳

しく言われことはかってなかったとのこと、「良く考えてみる」との反応だった。

どうやら彼の周りの人達も真剣に彼のことを考えて、助言された方がいなかった

ようである。その後お話する機会がなく、どのようされているのか気になった時、

彼から昇格試験にも受かりヤル気も出てきたと言う嬉しいお便りをいただいた。

彼は今まで自分の立場でしかものを見ていなかった自分に「気づいた」と言うでは

ないか。私も嬉しくなり、祝福の言葉を送り、頑張って欲しいと伝えた。この仕事

をしていて一番嬉しいのは「気づいてくれた人」が一人でも多くなっていただく

ことであるのは言うまでもない。

2012/02/07 09:14 |

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