最近クレーム対応のセミナー依頼が増えてきた。世の中が不景気になればなるほど
クレームは増えてくるように思う。私はあるべき論ではなく実際に経験した事例か
ら考えるようなお話をさせていただいている。そして一番大事なのはクレームも単
なる対応方法だけではなく、クレームを出さない職場風土作りが大切であると申し
あげている。クレームの話の前提はお客様のご期待にそえなったから起こると考え
たい、従ってクレームはお客様のニーズを把握出来ていなかったから起こるので、
それをチャンスに変えて活かしていかないと、もったいないのである。先日ヤマト
運輸の瀬戸会長のクール宅急便誕生のお話を聴いた。誕生前は生ものの配送で、
お届けしたら腐っていたと言うクレームがかなりあったようだ、そこで何とか冷凍
して運べないだろうかと考えたが、費用もかかり難しい、そして件数的にもそんな
に多くはないと言う結論が出た。しかし宅急便生みの親である小倉昌男氏は「冷凍
で運べる車がないから件数が少ない、その車を実現すれば飛躍的に配送件数が増え
る」と示唆され、今日のクール宅急便が生まれたらしい。まさにクレームはお客様
のニーズの裏返しなのである。クレームは①来店される②お電話③お手紙④メール
の場合が考えられる、私の前職時代にはメールなんて考えられなかったが、最近は
多いようだ。先日セミナーである方から「メールでクレームが来ればどのように対
応したら良いだろうか?」とのご質問を受けた。メールで送り返すと言うのもおか
しいかもしれない、そこで「メールで先方の連絡先を確かめて場合により、お電話
なりお伺いするなり、デジタルの対応ではなくアナログ対応も必要ではないだろう
か」とお答えした。但し接点を持ちたくないと言う方もおられるので、正解はない
とも付け加えた。ことほど左様にクレームは難しい、対応は個人ではなく組織とし
て対応すべきであり、逃げてはますます解決が遅れるものである。私の経験上恐ろ
しいのは「サイレントクレーマー」である、物言わず黙って去っていき、二度と近
づかれないのは厳しいものがある。またサイレントクレーマーは周りの知人の方々
へその悪評を流され、どんどん広がる可能性がある。クレームがないと安心してい
ることが一番恐ろしい。
2012/02/25 15:24