ある組織で個別ヒアリングをしていた時のことである。大変スタンスも良く物事の
本質をきっちりと把握される管理職の方がおられた。ところが話の核心になると
口をつぐまれる、普段もあまり口数が多い方ではないようだ。
自分から意見や意思を発露しないと周りには認知されないし、存在感もなくなる
のではないだろうかと申し上げたのである。しかし自分はこのようなスタイルで
今まで来たので、今更それを変えるつもりはない。もし誤解されようとも構わない
と言われる、驚いたことには「本当の自分は傲慢なのです」とも言われたのだ。
メンバーからの信頼感はかなりあるようだし、日常メンバーとの間では何ら問題は
なさそうだった。やはりその方の上司と上手く行かないことがあったようである。
以前はいろいろと上司に進言や諫言をされていたが、上司は一向に聞かれるスタン
スはなく、どうやら陰で彼のことを批判されていたことがあったらしい。一番良く
ないことであり、彼は言ってもムダと思い込んでおられ、おそらく目に見えない
ストレスは溜まっておられることと推察出来た。人間というものは甘言(心地よい
言葉)を喜んで受け入れるが、換言(諌める言葉)は受け入れたくはないものだが、
それでは組織は腐ってくる。そこで上司の方にそれとなく彼のことに触れて見たの
である。そうすると彼は以前意見をいろいろと言ってきたが、かなり強引で決め付
け的なことが多かった、もう少し建設的な意見を言うようにと示唆したが、治らな
いしそのうちあまり言わなくなったとのこと。彼はご本人が言われるように「傲慢」
なところが出ていたのではないだろうか、そして上にはもの言わぬ人になったのだ
ろう。これで良いはずはない、そこでかなり時間をかけてご本人には言い方を変え
てポジティブな言い回しをすべきだ、また上司にはもっと信頼関係を築きその方が
理解出来るように示唆をすべきではないかと申し上げた。それから数ヶ月経って
メンバーの方々とヒアリングをしたら、もの言わぬ人が最近明るくなられ、発言も
多くなったとのこと、そのままであれば本当に組織が沈滞化したままだっただろう。
2012/03/18 07:34