人と組織研究所 気づきナビゲーター 高橋貞夫

ブログ

2012年3月18日

もの言わぬ人(ビジネスサプリメント498号)

ある組織で個別ヒアリングをしていた時のことである。大変スタンスも良く物事の

本質をきっちりと把握される管理職の方がおられた。ところが話の核心になると

口をつぐまれる、普段もあまり口数が多い方ではないようだ。

自分から意見や意思を発露しないと周りには認知されないし、存在感もなくなる

のではないだろうかと申し上げたのである。しかし自分はこのようなスタイルで

今まで来たので、今更それを変えるつもりはない。もし誤解されようとも構わない

と言われる、驚いたことには「本当の自分は傲慢なのです」とも言われたのだ。

メンバーからの信頼感はかなりあるようだし、日常メンバーとの間では何ら問題は

なさそうだった。やはりその方の上司と上手く行かないことがあったようである。

以前はいろいろと上司に進言や諫言をされていたが、上司は一向に聞かれるスタン

スはなく、どうやら陰で彼のことを批判されていたことがあったらしい。一番良く

ないことであり、彼は言ってもムダと思い込んでおられ、おそらく目に見えない

ストレスは溜まっておられることと推察出来た。人間というものは甘言(心地よい

言葉)を喜んで受け入れるが、換言(諌める言葉)は受け入れたくはないものだが、

それでは組織は腐ってくる。そこで上司の方にそれとなく彼のことに触れて見たの

である。そうすると彼は以前意見をいろいろと言ってきたが、かなり強引で決め付

け的なことが多かった、もう少し建設的な意見を言うようにと示唆したが、治らな

いしそのうちあまり言わなくなったとのこと。彼はご本人が言われるように「傲慢」

なところが出ていたのではないだろうか、そして上にはもの言わぬ人になったのだ

ろう。これで良いはずはない、そこでかなり時間をかけてご本人には言い方を変え

てポジティブな言い回しをすべきだ、また上司にはもっと信頼関係を築きその方が

理解出来るように示唆をすべきではないかと申し上げた。それから数ヶ月経って

メンバーの方々とヒアリングをしたら、もの言わぬ人が最近明るくなられ、発言も

多くなったとのこと、そのままであれば本当に組織が沈滞化したままだっただろう。

2012/03/18 07:34

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