人と組織研究所 気づきナビゲーター 高橋貞夫

ブログ

2012年4月10日

お客様(ビジネスサプリメント501号)

日本大相撲協会が大相撲夏場所の番付編成会議で東関脇鶴竜の大関昇進を満場一致

で決め史上初めて6大関が番付に並ぶ。彼の名の「鶴」は元関脇鶴ヶ峰の1文字をも

らったそうだ。私は子供の頃大相撲が大好きで技能賞を歴代最多の10回、何となく

朴訥な鶴ヶ峰のファンだったのを思い出した。

昇進を伝えられた鶴竜は「これからも稽古に精進し、お客様に喜んでもらえるような

相撲がとれるよう、努力します」と口上を述べた。正直この言葉を聞いて意外に思っ

たのである。今までは4文字熟語を並び立てた分かり辛いものが多かったが、何と分か

り易い言葉なのか、それと「お客様」と言う言葉に驚いた。そう相撲の観客やファン

は「お客様」なのである。過去大相撲の不祥事は「お客様」を忘れていたのではない

だろうか。モンゴルからやって来て、朝青龍や白鵬のように身内にモンゴル相撲の達

人はいないやせっぽちの少年を鶴ヶ峰の次男である元関脇逆鉾の井筒親方が手塩にか

けた遅咲きの関取、これからの活躍を期待したいものだ。

さてお客様と言う言葉は前職でよく使った。常にお客様意識を持ち「親切・感謝・笑

顔」で接客しお客様に喜んでいただくことが大きな課題であった。そのために笑顔訓

練や接客態度のロールプレーングなどを徹底して行ったものだ。しかし言われてする

のと、自らその気持ちになって行うのとはかなり違うと思ったことがあった。そこで

基礎的な訓練はもちろん行うが「自ら考えること」を重要視し、「あなただってお客

様」「あなたがいるからまた来たい」などのコピーを掲示し、接客するあなたもお客

様になる時があるだろう、その時の気持ちになれば「どのようなサービスをすれば喜

んでいただけるか」を考えそれを実行しようと啓蒙活動をし、かなりの効果が出てお

客様からお褒めのお言葉を数多くいただいたことがあった。要はこちら目線ではダメ、

相手目線に如何に立てるかがポイントであろう。そんなことを考えていたら東京電力

のお客様本部長の方が「値上げに応じないと電力供給出来ない」との発言があり、心

底驚いた。もちろん東京電力の現場では必死で働いている方が大勢おられることだろ

うが、この言葉で東京電力には「お客様意識」と言うものは存在しないのではないだ

ろうかと思った。商品を売るとき「値上げします」、嫌なら買わなくて結構と言った

ら事業は成り立たない。鶴竜のようなお客様意識を持ってもらいたいと思うのは私だ

けだろうか。

2012/04/10 09:09

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