人と組織研究所 気づきナビゲーター 高橋貞夫

ブログ

2012年4月27日

気づかせる(ビジネスサプリメント503号)

先日の日経新聞に水泳の北島康介選手を育てた平井伯昌ヘッドコーチの記事が

掲載されていた。ロンドン五輪で競泳の女子メドレーリレーを泳ぐ4人のうち、

3人は平井コーチの門下生なのだ。2008年秋、北京五輪で北島選手を2大会連続

平泳ぎ2冠、背泳ぎの中村選手を2大会連続銅メダルに導いた平井コーチは、門

をたたいてきた寺川選手と加藤選手を受け入れたそうだ。しかしその時は「北島

選手のレンズ」で見てしまった、「中村選手はこうだった」との目で寺川選手を

見たと反省の弁を述べられている。「北島・中村のコーチが寺川・加藤を教えて

いる、上手くいくわけはない」、加藤選手に「こうしたら」と水を向けても「出

来ません」と返されたそうだ。北島選手らのような反応はないし、教えるのを

やめようかと思われたが、夜中にビデオ映像にかじりついて「おまえが負けた

ライバルはここがお前より優れている、ここを直そう」と説明した。感心する

加藤選手から信頼をつかんでいく。体験者が語るのは重い、「選手を変えようと

思うと、かえって変わらない」、コーチは道具であり、選手自ら変わるように

仕向けるのが理想である。面白い次のようなエピソードが紹介されていた。4月

の代表選考会、緊張で顔がこわばる加藤選手に声をかけた。「何に緊張している

の?」「自分にです」「自分の何に?」「自分に対する期待」「何の期待なの?」

と問いかけ、選手に考えさせることを平井コーチは大事にされている。加藤選手

は緊張の正体を分析するきっかけをつかみ、100メートルバタフライを日本新記録

で制したのである。まさに「考えさせる、答えを気づかせる」と言うコーチング

の基本を実践されたのである。

実は私もある組織で30代の男子社員の方を気づかせたことを思い出した。彼は

能力があるにも関わらず、日頃の仕事を漫然と処理し、全くヤル気など見せな

かったのである。彼と4回ヒアリングをした。「社員でありながらフリーターでは

ないか、私から見れば素晴らしい能力があるのに!」「別に良いではないですか」

「どうしてそのようになったのか?」「周りは誰も認めてくれないし、やっても

やらなくても同じ」「それで君は満足?」「そうではない」「認めてくれるよう

に努力した?」「いやーどうかな?」「だめ元でもその姿を見せようよ、あなた

自身のためだから」「やってみます」と言うようなやり取りだった。その後彼は

自分で答えを見つけ、今やなくてはならない存在になっている。そう!気づかせ

るマネジメントは相手に考えさせることありきだ。

2012/04/27 07:14

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