人と組織研究所 気づきナビゲーター 高橋貞夫

ブログ

2012年5月28日

実践に結びつく研修(ビジネスサプリメント507号)

先日あるご支援している組織のリーダー研修を終日行った。ノウハウやあるべき

姿は一切言わず「正解はない、自分たちでどうすれば良いかを考えてもらう」こと

を研修の主旨とした。従ってくどくどとリーダーシップのあるべき姿などの講義

はなし、気づきにつながる事例をお話し、皆さんで話しあってもらった。

数班に分けて議論してもらったが、驚いたことに「話し合いのリーダーとなる人」

「班別意見を発表する人」「議論をまとめる人」の役割を、みんなの合意で各班

とも一番苦手な人にさせるように仕組まれていたのである。そして発表の段階で

どの班からしようかと考え「先にしたい班は?」と尋ねると、何と今までそのよう

なことが一番嫌いな方が手を上げて「私がします!」と言われるではないか。

その方の発表はよくまとまった内容だったので、再度驚いた。次々と名乗り出て

こられる。研修に対するスタンスが誠に素晴らしく「やらされ感」など微塵もない、

みんなで「考えよう!」と言う雰囲気なのだ。もちろんスケジュールやレジュメや

資料は事前に渡して、皆さん良く理解されて臨まれていたのである。また「自己分

析」のテーマ(これも事前に伝えてある)でスピーチ訓練をしたが、3分と言う時間

は極めて長く感じると思うし「自分は話が下手」と思い込んでおられる方が多いこ

とだろうと思った。しかし「誰から?」といった時、またまた手が上がるでは

ないか!順番を争いジャンケンで決める現象が起きた。次々に指名しなくても

どんどん進む、全員からコメントもどんどん出てくる。お話を聞いていて皆さん

「ご自分のことは良く分かっておられる」ではないか。あっと言う間に一日の研修

が過ぎたのである。今後は各人と私とで個人別にヒアリングをさせていただいて、

気づいたことなどのフォローをしていく。ここで確信したのだが「あるべきリーダー

像」を理論的にお話しても「あっ、そうなんだ!」とは感じられるが、自分自身の

経験上、明日への行動には殆どつながらないものだ。組織の理念のもと自分で考え、

違った視点からナビゲートされてこそ実践につながる。最後にまとめをしたが、

リーダーとは「考える力=誰でもあるし苦手なんてない」「表現する力=話ベタなど

なくその思い込みが怖い」「聴く力=聴く力があれば相手に話せる」と、そして一番

大事ことは「思ったことを実践する力」しかない、それは各人の真の「気づき」だと

締めくくった。

2012/05/28 11:32

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