最近企業の個人ヒアリングをしていてよく聞く言葉は「この頃バタバタして1日が
終わったら何をしていたのか?物事が進まず何だか虚しい気がします」と言うも
のだ。このような方々は与えられた仕事に熱心にお取り組みをされている場合が殆
どであるし、極めてまじめな方が多い。突っ込んで聞いてみると「今日はこれをし
よう!」と一応スケジュールは立てているが、必ずしもその通りにはいかないこと
が多いと言われる。そこで「どのようなことがスケジュールを狂わすのか?」とお
尋ねすると、突発的な仕事や締め切り間近の仕事が多く計画通りにはいかないと思
い込んでおられる様子が垣間見られ、それは仕方ないことだと半ばあきらめておら
れることが多い。そこでスティーブン・R・コヴィーの「7つの習慣」を思い出し
た。横軸に緊急性、縦軸に重要性のグリッドを作り4つの領域に分けた理論である。
人間は緊急度の高い重要性の高い第一領域(締め切りのある仕事、クレーム対応等)
を優先してしまい、緊急性はないが重要度の高い第二領域(準備や計画、人間関係
作りなど)を後回しにすると言うものである。そう第一領域に振り回されているの
だ。そこで「もう一度、仕事の再整理をして突発的な仕事が入ってきても良いよう
なスケジュール化をすれば」と申し上げるが、上手くいくことはまずない。要は
従来の仕事の進め方の延長線上でしか考えられないのである。何が今一番重要な
仕事であるのかを考え直さないと解決は難しい。また仕事を省くことも大切である、
即ち「この仕事をしなくても良いのではないか?」「今この仕事をしなければなら
ないのか?」「この仕事は誰かに任せることは出来ないのか?」などを考えないと
いけない。即ち従来の行動パターンから「新しい行動の習慣化」を考えるべきであ
る。もっと突っ込めば「この仕事の目的は何か?」とか「この仕事の重要性は?」
が希薄になってはいないだろうか。そこである人に自分の仕事を整理してもらい、
重要度や目的意識まで突っ込んで考えてもらったことがあった。最初は邪魔臭いと
言う抵抗感があったようだが「自分のため」と言うことに気づかれ、かなり突っ込
んで整理をされた。そして一緒になってその内容を分析したことがあった。ご本人
が「随分無駄な時間を過ごしていました」と言う言葉が印象的だったのを覚えて
いる。そう従来の行動パターンから重要性を重視した新しい行動パターンに気づ
かれたのである。その後お目にかかったが「バタバタしています」と言う言葉は
言われなかった。
2012/06/04 06:10