人と組織研究所 気づきナビゲーター 高橋貞夫

ブログ

2012年6月14日

メンタルヘルスとは(ビジネスサプリメント509号)

先日次世代のメンタルヘルスと題した公開講座でゲスト講演し「気づきの風土作

り」の大切さを実例ばかりでお話した。従来のメンタルヘルス対策はメンバーの

危険信号を如何に早く見つけ出し、早期に解決しないといけないかと言うものばか

り、心の病気になれば早く専門医の診断を受けゆっくりと休養させ、職場復帰は焦

らずに様子を見ながらと言うものではなかっただろうか。しかしこれからは人と組織

の関係に着目して、個人の問題もさることながら、組織のあり方を見直していかな

いといけないと言う主旨の公開講座であった。そうイキイキした職場であれば悩む

個人も少ないだろうし、生産性もぐんぐん伸びることは間違いない。「我が社は

公平な組織か?」「うちの上司は公平なマネジメントをしているか?」と言うこと

がメンタルヘルスに大きな影響を与えている。日経ビジネスに高野知樹先生が職場

のモチベーションを高める「組織公平性」を4つの尺度として次のように述べておら

れた。まず1つ目は分配の公平性(報酬・人事・業務内容・などの分配が公平である

か)、2つ目は手続きの公平性(報酬・人事・業務内容などの決め方の手続きが公平

であるか)、3つ目は情報の公平性(業務に関する情報を公平に伝達できるか)、そ

して4つ目に対人関係の公平性(従業員がお互いの人格を尊重し、公平な対人関係が

結べているか)だと。「職場の公平性」が実践されていないところでメンタルヘルス

を語っていても根本的な解決にはならない。特に4つ目の対人関係の公平性がかなり

重要ではないだろうか。相手に「関心」を持つこと、即ち関わる心がない組織ほど

冷たいものはない。上司が部下の1人ひとりと公平に向かい合って、それぞれ特性が

違う方々に合わせたコミュニケーションが取れているか、部下の人格を尊重し誠実

に接しているかが問われるのではないだろうか。そこにはハラスメントの言葉も存在

しない。「おや!おかしいなぁ」では遅いのである。数々の方々との気づきヒアリン

グを通して感じることだが、メンタルヘルス問題に至るまでに多くの方々がその

「予備軍」におられることが多い、その時点で的確なナビゲートが出来ていれば問題

は大きくならないと思うことがしばしばある。これからのメンタルヘルス問題は

「1人ひとりに関心を持ちお互いがリスペクトできる人間関係作り」がより求めら

れるのではないだろうか。

2012/06/14 11:02

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