先日次世代のメンタルヘルスと題した公開講座でゲスト講演し「気づきの風土作
り」の大切さを実例ばかりでお話した。従来のメンタルヘルス対策はメンバーの
危険信号を如何に早く見つけ出し、早期に解決しないといけないかと言うものばか
り、心の病気になれば早く専門医の診断を受けゆっくりと休養させ、職場復帰は焦
らずに様子を見ながらと言うものではなかっただろうか。しかしこれからは人と組織
の関係に着目して、個人の問題もさることながら、組織のあり方を見直していかな
いといけないと言う主旨の公開講座であった。そうイキイキした職場であれば悩む
個人も少ないだろうし、生産性もぐんぐん伸びることは間違いない。「我が社は
公平な組織か?」「うちの上司は公平なマネジメントをしているか?」と言うこと
がメンタルヘルスに大きな影響を与えている。日経ビジネスに高野知樹先生が職場
のモチベーションを高める「組織公平性」を4つの尺度として次のように述べておら
れた。まず1つ目は分配の公平性(報酬・人事・業務内容・などの分配が公平である
か)、2つ目は手続きの公平性(報酬・人事・業務内容などの決め方の手続きが公平
であるか)、3つ目は情報の公平性(業務に関する情報を公平に伝達できるか)、そ
して4つ目に対人関係の公平性(従業員がお互いの人格を尊重し、公平な対人関係が
結べているか)だと。「職場の公平性」が実践されていないところでメンタルヘルス
を語っていても根本的な解決にはならない。特に4つ目の対人関係の公平性がかなり
重要ではないだろうか。相手に「関心」を持つこと、即ち関わる心がない組織ほど
冷たいものはない。上司が部下の1人ひとりと公平に向かい合って、それぞれ特性が
違う方々に合わせたコミュニケーションが取れているか、部下の人格を尊重し誠実
に接しているかが問われるのではないだろうか。そこにはハラスメントの言葉も存在
しない。「おや!おかしいなぁ」では遅いのである。数々の方々との気づきヒアリン
グを通して感じることだが、メンタルヘルス問題に至るまでに多くの方々がその
「予備軍」におられることが多い、その時点で的確なナビゲートが出来ていれば問題
は大きくならないと思うことがしばしばある。これからのメンタルヘルス問題は
「1人ひとりに関心を持ちお互いがリスペクトできる人間関係作り」がより求めら
れるのではないだろうか。
2012/06/14 11:02