先日の朝日新聞に男性の日傘が年に1000万本売れているという記事を読んで驚
いた。どうやら強い日差しを避け紫外線を浴びたくないと言う思いは男性も一緒
らしい。男性の日傘は4~5年前から徐々に広がり、今年は各販売店が種類や本数
を増やしているとのこと。戦前では男性の日傘は流行ったらしい。涼しくて、今
問題の熱中症を防げて、有害な紫外線もカットできる日傘を男性もさそうと言う
時代なのだ。確かにずっと木陰で歩いているような涼しさらしい、販売担当者は
「ここ数年、徐々に男性の注文や感想が増えている、実際に使って遮光や遮熱の
効果に驚いく人が多いようです」とのコメントも掲載されていた。まだ私は使って
いないが、真夏の高校野球やスポーツ観戦には最適かもしれない。まさに消費の大
きな変化である。
以前雨傘売場のお話をしたことがあるのを思い出した。ある梅雨時のことだった、
どうやら空梅雨なのである。販売データーを調べてみると売上は散々、前年比80%
の極めて不振な状況だった。早速売場に赴き責任者を問い詰めると「雨が降りません
から」と言うではないか。景気が悪いから売上があがりません、販促が出来ていな
いから売れません、など他責にしてしまうのは簡単である。しかしこの厳しい経済
状況下で生き残るには「その状況でどのようにすれば売上を上げることが出来るの
か」を考えていかないとだめである。そこで第一線の女性販売員の方に「どうした
ら空梅雨の時に雨傘が売れるのか?」を聞いてみた。そうすると彼女から私に「雨
傘は何のために買われるのですか?」と言う質問があった。私は「当然雨に濡れな
いためしかないではないか」と答えたが、それから?とまたまた質問、困っていると
「女性にとって傘はファッションなのです」との答えが返ってきた。したがって空
梅雨の時は出来るだけ「ファッション性の高いものを全面に出し、今よりも姿見を
増やして欲しい」と言うではないか。お客様は傘を手に取り姿見の前でスーツやバッ
グや靴と傘がコーディネートしているかを確かめて、お買い上げになるらしい。
雨が降れば即座にワンタッチの傘を全面に出すべきとの提案ももらった。さすがに
現場の感覚である。早速実践したら空梅雨にもかかわらず売上は目標をクリアした
ことがあったのを思い出した。消費の変化を先取りした男性の日傘もこれからは
ファッションの一つになるかもしれない。
2012/09/09 16:31