人と組織研究所 気づきナビゲーター 高橋貞夫

ブログ

2012年11月30日

自分目線(ビジネスサプリメント527号)

昔ある企業のお手伝いをした時のことである。非常に優秀で大きな成果を出してい

る中堅の男子社員がおられた。彼とお話すると良く勉強しているなぁと思うことが

しばしばあった。OFFタイムは自分で時間を作りボランティアもされている。誠

に言うことなしの人材であった。しかしお話をしているとどうも「上目線的」な言

葉遣いを感じるし、メンバーや上司に対しての物足りなさを訴えられるのである。

そこで上司やメンバーの個別ヒアリングの時に彼のことをそれとなく尋ねてみた。

上司は彼が組織を飛び越えて行動してしまい、自分が知らない時がある、しかし成果

を出すのであまり指摘はしていない、その部門の経験は彼のほうが長いのでそっと

見ているとのことだった。それは上司の責任回避であり、成果は組織のものである

との認識を植えつけていかないといけないと諭した。どのような組織にも「結果」

さえ出せば何をしても構わないと言う風土のところも多いが、組織はチームプレー

も必要なことは言うまでもない。またメンバーに聞くと若手は「凄い人です」、

勉強になりますと言う人もいたが「言い方がきつい」とのこと。また他のメンバー

は「チームのメンバーが何時も彼の機嫌を伺っている状態」であり楽しく仕事が出

来ない、彼のサポートをしているスタッフは、感情的に叱り飛ばすので頭が真っ白

になると言うではないか。どうやら職場では良く出来る人材だが、彼は腫れ物に触

るような存在なのだ。そこで彼と改めてヒアリングをしたのである、このようなこ

とを一方的に言うと彼との間に大きなカベが出来るし、周りの言うことが全て正し

い訳ではない。まず「あなたは本当に良く頑張っている」しかし「この仕事は自分

しか出来ないと思い込んでいないだろうか?」「あなたと上司のコミュニケーショ

ンは出来ているか?」「イライラする時は多いと思うが、感情が先に出てはいない

だろうか?」「自分目線でものごとを見るとイライラすると思うが、メンバーの方

達のそれぞれの目線に合わせた接し方を今後考えていこう、そうするとあなたの能

力の素晴らしさが益々出てくるし、これから管理者の立場に立った時に全員を巻き

込むマネジメントが出来る」とお話したのである。すぐには納得されない様子だっ

たが、終わりには言われることが良く分かりますとの発言、その後の彼の活躍は誠

に素晴らしいものがあったようだ。

2012/11/30 09:53

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