ある企業のお話である。リーダーの方は改革マインドが素晴らしく、現状では衰退
あるのみと常々考えておられる、そしてどんどんと新しいことにチャレンジされる
が、必ずナンバー2のサブリーダーの方とペアで実践されるのだ。サブリーダーの
方もリーダーの考え方には共感され懸命に補佐やアドバイスされているらしい。
しかしメンバーの方々から見ればあの2人は何をしているのか?サブリーダーの方
は我々の上司であるにも関わらず、現場のことは殆どノータッチではないかと言う
不満が渦巻いていたし、彼は上司の良き補佐役としての立場でもあり、またメンバ
ーのまとめ役や指導役としての立場でもあるのだ。そこで現場のメンバーの方にホ
ンネで話を聞いてみた。メンバー曰く「サブリーダーは現場のことを我々に任せっ
きりでかなり忙しそうにされている、たまに我々と意見交換される時があるが、そ
の内容がリーダーに筒抜けで、もう話しても仕方ないと思い、必要最低限のことし
か会話していない」と言うではないか。メンバーには「諦めず、思い込まずに自分
たちの思いを素直にサブリーダーに伝えよう、筒抜けではなく現状の報告ではない
か」ととりあえず示唆をした。そしてサブリーダーとホンネでヒアリングをしたら
「リーダーの考え方は素晴らしく、今我々が動いておかないと取り残されることに
なるので、懸命に補佐をしている、また現場メンバーの方達と話をするが、自分は
この部門に変わったばかりでどうしても遠慮してしまう、メンバーとの話し合いも
重要なことはリーダーに報告すべきと考えているが、何かメンバーに勘違いされて
いるような気がする」と非常に悩んでおられたのである。そこでサブリーダーに
「補佐の仕事はどのような事で今何故重要なのか?自分がリーダーに報告するのは、
彼が現場のことを十分理解していただかないと判断に齟齬が出ては困ると思うから
である」そして「まず補佐の仕事とまとめ役の仕事のバランスを良く考えていこう、
部門の経験年数が少ないからこそ問題点が良く見えるのではないか?あまり考え込
まずにメンバーに気軽に声をかけ、関わる心、即ち関心を示せば良いだけだと思う」
と長々とアドバイスをさせていただいた。このサブリーダーは凄く回転が速い方で、
洞察力も優れている、私の言葉一つ一つにうなずきながら自分の立ち位置を整理さ
れたようである。私とのヒアリングが終わった時の爽やかな彼の笑顔が忘れられな
い。その後彼からイキイキと頑張っておられる便りが届いた。
2012/12/19 07:40