人と組織研究所 気づきナビゲーター 高橋貞夫

ブログ

2013年5月29日

ビッグデータ(ビジネスサプリメント546号)

ビッグデータとは「情報技術分野の用語としては、通常のデータベース管理ツールなどで取り扱う事が困難なほど巨大な大きさのデータの集まりのこと」を言うらしい。最近の日経新聞に「ビッグデータ 変わる企業」と言う特集記事が掲載されていた。世界で1日に生み出されるデータは1人あたり1ギガ(ギガは10億)バイトにおよぶとある、そのデータを使いこなせるかどうかが企業の競争力を左右する時代に筒入した。KKD(経験・勘・度胸)の時代を超えて舵取りをしないといけないのである。いわゆる「暗黙知=人間が暗黙のうちに知識として持っている、言語(文字)にできないもの」の「見える化」が必要となってくる。ビッグデータは社員の心の動きもあぶり出すと言う事例が掲載されていたので紹介する。「全国で一千社が利用するオリックス自動車の車両管理サービス、箱型の通信装置を車に載せて走行距離、アクセルやブレーキ操作などのデータを集める、急ブレーキを踏めば管理者にメールが飛び、社員の運転ぶりが手に取るように分かる、効果は安全運転の徹底やガソリン代の節約だけではない、運転が荒っぽくなった社員に事情を聞くと、仕事の悩みを抱えていることが分かったと言う会社もある、やる気の出る職場づくりに役立てる動きが広がっている」とあった。
そう「感覚や思い込み」では通用しないことが多い。以前にご紹介した私がご支援した職場での「見える化実験」を思い出した。ある工事関係の会社でリーダーがメンバーの名前を手帳に書き、声をかける度に正マークを書いていくものだ。実験以前のリーダーは全員に平等に声をかけている「つもり」だった。しかし実際の声かけには偏りがあったのだ。わずか7人のメンバーだったが1カ月間で一番声をかけたメンバーは30回、一番少なかったメンバーは3回と出てしまった。そこでリーダーは慌てて一番少ないメンバーと打ち解けて話し合った。そうするとメンバーは「何故自分だけが事業所から遠い工事ばかりなのか?」「何故難しい工事ばかりを割り当てるのか?」との疑問の声が出てきた。このメンバーの帰社時間は何時も誰よりも遅いのである。リーダーに悪気はなくメンバーに関心を示さずに、帰りが遅いので声をかける場面が少ないことに気づかなかったのである。そこで改めてメンバーに詫び、公平な距離の工事分担を約束し、このメンバーの技術スキルが優れているので、自然と難しい工事を分担していたが、必ず補助要員を付けてその人にスキルを付けさせ、徐々に担当させる様になった。その後は悩んでいたメンバーも明るくなり、より良い職場が出来たことがあった。
但し「見える化」時代でも「アナログ」を欠かせないことは言うまでもない。

2013/05/29 14:46

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