人と組織研究所 気づきナビゲーター 高橋貞夫

ブログ

2013年6月17日

個を高める(ビジネスサプリメント548号)

個人別ヒアリングをしていて、最近の若い人達の考え方がかなり変わってきたと感じることが多い。我々の頃は「組織に貢献する」ことが第一義であり、そのためには一生懸命に能力を磨き頑張ること、いわゆる「24時間戦います」の時代であったような気がする。しかし今の時代はこれだけでは通用しないことは自明の理である。私は最近個人別ヒアリングで「誰のために働いている?」と質問を投げかけることが多い、そうすると少し間が出来るが「家族のため」や「組織のため」もままあるが「自分自身のため」と言う答えが圧倒的に多い。私はその時「そう!自分のスキルや経験を前向きに捉え自分のものとしていくことが大事」とお答えしている。もちろん組織の指示や命令に従い仕事に取り組むことが基本であり当たり前のこと、それが出来ての話であるが。そして「あなたはこの組織で培った能力が外部で通用するような人材にならないと意味がない、その結果として組織に貢献できるものだ」とお話すると殆どの方がうなずかれるのである。これは何も利己的になれと言っているのではない、まずは指示命令待ち人間では何も成果は生まれない。自ら気づいて動いたことが大きな成果につながるものである。そして「達成感」が醸成されやりがいが生まれてくるものだ。
私自身の経験であるが、サラリーマン時代にはゼネラリストではなく、どちらかと言うとスペッシャリスト的な道を歩んでだ。そのことが大きな自分のハンデと考えたこともあったが、振り返ってみると経験したこと、学んだことが自分自身の大きな力と自信につながっていると思うようになった。仕事の基本はどのような職種であれ同じである。携わったことのないことは、担当者の方々から良く聞き、そのやり方の基本をマスターすれば良いのである。ゼネラリストの方は幅が広く、何でもこなせる器用さはあるだろが、仕事の深みを付けているだろうか。深みがあれば問題は何もないし、素晴らしいことであるが、中途半端に終わってしまうと、外で通用する力が薄れてくるような気もする。どちらが良くて、悪いと言っているのではない。先日サッカーの本田圭佑選手が言った「どうやって自立した選手になって個を高められるか」なのだ。これからの社会は「組織内で自立して個を高めどうやって組織に貢献できるか」と言う考え方が基本になるであろう。

2013/06/17 09:10

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