人と組織研究所 気づきナビゲーター 高橋貞夫

ブログ

2013年6月26日

成果主義から成長主義へ(ビジネスサプリメント549号)

プロ野球の交流戦は今年で9年目を迎え先日終わったが、今年もセリーグが大きく負け越している。そう言えばTV中継の多いセリーグは人気のセ、ファンが少ない実力のパとも言われた時期もあった。緻密なデーターを生かして「組織」で戦うセリーグ、野球自体は粗いが「個」の力で戦うのがパリーグと書いてあった記事もある。今までのデーターもそれほど生きないかもしれない短期決戦の交流戦で「個のパ」が「組織のセ」を破ってきたのかもしれない。
私の元職の知り合いには外資の保険会社に転職した後輩もかなりいるが、多くの方々が基本給は少額で、殆どは歩合給の業務委託のような活動をされている。
かなり前に大手外資保険会社の責任者の方から私に「自立マインド」の話をして欲しいとの依頼があり講演をしたことがあった。しかし大半の営業の方々は「自立マインドがなければこんな仕事はやってられない」との反応があり、恥ずかしながらやや空回りしたのかと反省したことを思い出した。ある意味で「束縛されるのを嫌い」組織よりも個人で仕事をしたいと、自立マインドを持っておられることも確かであろう。稼いだ分だけ手にすることを組織に期待し、組織もその成果を期待しているが、長年これを続けていると皆さんは疲弊して大きな壁にぶち当たり深刻な悩みを持ち、最終的には組織から離れる人も多いようだ。
しかし最近はこのような状態から少し変化の兆しが見えて来たように感じる。積極的に自分が所属するチームに関わるようになり、自分よりも経験の浅い方に積極的にアドバイスし、個人の成績が達成されても、チームの成果を期末まで追い求めると言う話を聞いた。例えば「このようにお勧めしたらもっと良い」「一緒に同行しよう」などの言葉が出る、今までは結果報告だけでオフィスには戻らなかったのが、オフィスでコミュニケーションする時間がかなり増えたとも言う。
目先の数字に振り回されるよりも、「お客様にご満足していただける」ことが一番大事であり、そのことに気づき個の力を思う存分発揮して、チームプレーに徹していくことを実感してこそ、本当の「達成感」を感じるものだ。まさに「個」と「組織」のバランスが求められる。
前回のブログでも述べたがビジネスは長期決戦であり、如何に組織の中で自立マインドを醸成し、そして個を高めること、その結果として組織に大きな貢献をするものである。これからの時代は「成果主義」だけでは疲弊する、ますます個や組織の「成長主義」になるべきではないだろうか。

2013/06/26 16:08

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