人と組織研究所 気づきナビゲーター 高橋貞夫

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2013年7月17日

女性の就労促進(ビジネスサプリメント551号)

過日厚生労働省が発表した賃金構造基本統計調査によると、2012年のフルタイムで働く女性の平均賃金は前年比0.5%増の月額23万3100円と2年連続で過去最高を更新したらしい。男女間の賃金格差も過去最少に縮まったとのこと。賃金の伸び率では女性が男性を上回っており、アベノミクスの成長戦略でも言われているが女性の活用がデフレ脱却のカギを握りそうな情勢になってきた。男女合わせた平均賃金は0.3%増と3年連続で増加しているが、06~09年は団塊の世代の退職に加え、08年秋のリーマン・ショック後の定期昇給の凍結などで4年続けて減っていた。最近はデフレ脱却を目指し賃金増が叫ばれており、一部の企業ではその動きも出てきた。新聞記事には働く女性の数そのものも増えており、12年の女性の雇用者は前年よりも6万人多い2375万人と過去最高を記録したと掲載されていた。しかし直近のOECD加盟34ヶ国の「雇用アウトルック2013」では日本の25~54歳の女性の平均就業率は69%にとどまり、加盟国中24位だったとある。まだまだ女性の就業を支援していくことが大切。
女性の就労を増やすには保育所の整備など女性が働きやすい環境をつくる必要性が生じてくる。最近のニュースでは幼児教育の無償化について検討する政府・与党の連絡協議会が近く設置されることになり、衆議院で政権公約した3歳から5歳児の幼稚園児や保育所などを無償化する動きもある。しかし国の基準を満たす認可保育所に入れない待機児童は全国で約2万5千人に上り、その8割超は0~2歳児と言う現実もある。幼児教育の無償化も大切ではあるが、保育所整備も急務であるように感じる。
そういえばある団体で勤務時間が15分後ろにずれたために、保育所の迎えが困難になり悩んでいる女性の方がおられた。またあるところで女性従業員募集をしたところ、優秀な方がおられたがシングルマザーのため子供さんが急病の時に仕事に支障をきたすと言うことで採用しなかったとの残念なお話も聞いた。日本では働く女性の6割が出産を機に退職する状況が20年ほとんど変わっていないらしい。保育所が十分整備されておれば、出産後も働き続ける女性は確実に増えるのではないだろうか。人口の減るなかで、労働力の減少を抑え、経済の活力を損なわないようにするためにも、高齢者のさらなる活用と共に女性の就労促進につながる子育て支援策が求められるのは言うまでもない。
先日ある企業の定年前研修で、59歳の女性が継続雇用を希望され、職場は配置転換になるが、自分の新たな道として捉えてスタートしたいと言う力強いメッセージをいただいたのが印象的だった。

2013/07/17 09:21

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