人と組織研究所 気づきナビゲーター 高橋貞夫

ブログ

2013年8月 5日

ようやく気づいた人(ビジネスサプリメント553号)

以前ある企業で個人別ヒアリングをした時のことである。彼は中堅社員であり過去何回かヒアリングをしたことがあった。1回目は彼が管理部門所属の時であったが、良く自分から話をするがなかなか話につながりがない、私からの宿題も完全には出来ていなかったことが多かった。人当たりは良いが頑固、言い過ぎだが「言うだけ番長」のようなところがあった。すなわち発言だけは勇ましいが行動が伴っていなかったのである。その後営業部門に異動となり彼と2回目のヒアリングの機会があった。最初は管理部門から営業部門へ移りなかなかなじめないものがあり、かなり悩みはあったようだ。しかしお客様からは可愛がられて、何となく憎めない人柄で、それとなく彼にお客様意識などをナビゲートし、その後は順調に成果を残されていた。それからかなり経って会社の方から、彼はそろそろ人事管理能力を付けていかないといけないと言うことで、3回目のヒアリングの機会が設けられた。その時、彼は何故3回もと不思議に思ったようであった。しかし暫くしてヒアリングを通じてやっと気づきを感じた言葉が出たのである。「自分は今までマイペースでやってきた、また何でも自分でした方が速いし後輩の特性を考えずに仕事も任せていなかった、以前から良く考えずに動いていたことが多かった」とのこと。考えていないので後輩には精神論や抽象的な言葉ばかりを言っていたのではないだろうかと言う、そして彼曰く「最近周りの人から変わったね!と言われます、この頃は思い付きで行動や発言をすることを出来るだけ控え、良く考えて行動し、後輩指導をしています」と言うではないか。後輩たちを見る目が違うし 必ず考えさせるようになったのだ、また考えさせた結果の検証も忘れない。例えば後輩のチーム2人がもっとコミュニケーションをとるべきと思っていたが、以前だったら「もっと話し合いをしろ!」で終わっていたが、彼らに考えさせるようにし向けたところ、必ず毎朝2人で自発的に話し合うようになったらしい。私は今まで彼が持っていたすぐ動くと言う、ある意味良い部分はなくさないようにして、自分を磨いて欲しいとお話したのを思い出した。その後後輩たちが大きな受注が出来たと、嬉しい便りをいただいたことが忘れられない。まさに彼は「気づける人は蘇る(ヨミガエル)」を実践されたのである。

2013/08/05 13:50

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