人と組織研究所 気づきナビゲーター 高橋貞夫

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2013年11月18日

2人のリーダー(ビジネスサプリメント565号)

以前ヒアリングした事業所である2人のチームリーダーのことを思い出した。例えばAさんとBさんとしよう。
Aさんは問題意識旺盛で機転がきく若きリーダー、業務の流れの問題点を見つけ出し、どんどん改善していた。しかしものの言い方は何時も決めつけが多く、最初はメンバーに受け入れられるが、上目線で感情的な振る舞いをしているので仲間からの信頼感は薄く反発もあったようだ。
Bさんは人柄が良くメンバーの気持ちを掴むことが出来て、仲間からの信頼感は抜群であった。しかし物事を改善提案したり、厳しく叱ったりは出来ず、自ら先頭をきってリードしていくタイプではなく、何時も何となく控えめな様子、要は嫌われたくなかったのかも知れない。
即ちAさんにないものはBさんにあり、BさんにないものはAさんにあると言う状態で、ややお互いに敬遠したり、遠慮し合った関係だったのである。
ある時メンバーの日報を見て意見が分かれたらしい。新人のメンバーが日報に「つまらない仕事をさせられて大幅に時間がロスした」と書いていた。Aさんは「つまらない仕事」なんてない、こんなネガティブな意見は大きな問題だと判断し、Bさんに伝えた。Bさんはこのメンバーと日頃から接点があり、その日の行動も全て把握していたので、彼のコメントの真の内容を掴んでいると判断した。
文面だけを捉えれば問題かもしれないが、Bさんは彼の言っていることは正直で特に問題はないと言う。そこでお互いにリーダー同士がこの問題をきっかけに初めて「気楽にまじめな話し合い」を持ったようだ。Aさん曰く「Bさんは皆に日頃から声をかけて、常に現場目線で仕事をしている」と、自分の至らなさを痛感したようだ。
Bさんは「Aさんは何時も問題点を掴み良く分析できる、自分は日頃の業務に埋没していたかもしれない」と反省の言葉があった。
驚いた事にお互いに遠慮していた関係から、この一件を機にお互いの足らないもの自覚して、足りない部分をお互いにフォローし合う関係を作って行こうと合意が出来たようだ。
完璧なリーダーはそんなに存在はしない、お互いに良い部分を伸ばし、出来ていないことは相手から学ぶ姿勢が出来てこそチームは上手く回るものだ。
AさんとBさんに改めてヒアリングをしたら、2人で力を合わせてメンバーの仕事がやりやすいようにしていくことが自分たちの役割であると、力強い言葉をいただいたのが印象的だった。事業所の責任者からはこのチームはその後
素晴らしい成果を出していると言う便りをいただいた。

2013/11/18 08:59

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