人と組織研究所 気づきナビゲーター 高橋貞夫

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2013年11月27日

おもてなし(ビジネスサプリメント566号)

2020年のオリンピック招致に成功した東京、私も頑張って生中継を観たが、滝川クリステルさんのプレゼンテ―ションで一躍話題になった「おもてなし」と言う言葉を考えてみた。語源は「もてなす」の動詞から来ており「もてなし」と言う名詞形に「お」が付いたものとされるらしい。
先日TVで放映していたが、外国の方から見た日本の素晴らしいおもてなしは「タクシーの自動ドア」「ゴミが落ちていない」「メガネの電子洗浄器」だとか。
そうすると先日の日経新聞に国立新美術館長青木保氏が「縁薄れ 心遣い忘れる」と言うテーマで語っておられる記事を見た。氏は「本来のおもてなしとは、お金が介在しない心遣い、全く知らない人であっても困っていたり寂しそうにしていたりしたら、ちょっと声をかけて『どうかしましたか』と聞いてあげる、人間関係を円滑にする潤滑油であり、他人の温かさを知り、自分もそれを他人に受け取ってもらうことで気持ち良くなる、そういうものだと思うのです」と述べておられた。優先座席にも関わらず前にお年寄りが立たれていても、寝たふりして席を譲ろうとしない若者などはあきれてものが言えないが。
前職で大変印象的なお褒めの言葉をいただいたことを思い出した。ある時夕刻地下出入り口付近でお年寄りのご夫婦が何やら迷われていた。出口の外であったがある係員が「どうかされましたか?」とわざわざ外に出てお声をかけたのである。この方は神戸はまれにしか来られずJR三宮へはどのように行くのか、随分と迷われていた。我々のお店のお客様ではないが、その係員は、わざわざお二人に付き添いお話をして駅までご案内したらしい。後でご丁寧なお礼状をいただき、係員のネームプレートを覚えておられ「○○さんによろしくお伝えください、このような親切な態度に感動しました、御社のますますのご発展をお祈りします」と言う内容だった。早速全店朝礼をしてその係員の表彰をしたことがあったが、まさにお金が介在しない「おもてなし」だったのだろう。
このことから「おもてなし」は相手を思いやる心の大切さを思い起こさせられた。青木氏も今日本に消えかけている「おもてなし」文化は「あいさつ」から再出発と言われている。挨拶とは「心をひらいて相手にせまる」とある。先日友人とハイキングをしていたら、違うグループとすれ違い、お互いに「こんにちは」と声をかけあったが、何となく清々しい気持ちになった。
まずは顔を見たらニコッとする、些細な事から「おもてなし」を考えたいものだ。

2013/11/27 14:42

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