人と組織研究所 気づきナビゲーター 高橋貞夫

ブログ

2013年12月 6日

ナマズとカマス(ビジネスサプリメント567号)

先日の朝日新聞経済気象台に「イワシとナマズとカマス」と言うコラムが掲載されていたが、私が何時も講演会でお話しする内容と全く一緒だったのでびっくりした。そのことから以前ご支援していた企業のケースを思い出した。ある時その企業が縁あって中途で幹部社員を採用されたことがあった、数か月後トップから私に「周りの方達がその幹部の新しい考え方や、マナーの良さに刺激され、イキイキとしてきた、新しい血を入れて活性化した」とのこと。
まさにイワシの生簀に鯰一匹の逸話と同じ現象、「イワシは魚偏に弱いと書き、生命力がない、陸揚げすると殆どが死んでしまう、そこで生簀に鯰を一匹入れると、その刺激と緊張感で市場まで生きて届けられる」と言うもの。
すなわち違う異分子が入ると組織は活性化されるのである。私自身大手のデパートから、中小のベンチャー企業へ転身したが、全く違う世界であった。今までの常識が、そこでは非常識になる。最初は戸惑いの連続であったが、私自身も大いに刺激されて新しい考え方を習得させていただいたし、私の存在も周りの方達の活性化にお役にたったのではないだろうかと今でも感じている。
つまり同質的な集団における外部者の存在が果たす役割の大切さではないだろうか。
またそのイワシの話であるが主役はカマス、以前にもブログで掲載したがいわゆる「学習性無力感」のお話しにつながる。このお話は「気づき」の講演会では必ず申し上げているが、ビジネス社会で良く起きている現象なのだ。
透明な板で分離された水槽の一方にイワシを泳がせておく、仕切られた反対側の水槽には他の魚類を捕食する貪欲な腹を空かせたカマスを泳がせる。カマスはイワシに食らいつこうとするが、透明な仕切り板に何度もぶつかる、疲れ果ててこれはダメと言う無力感が醸成し、仕切り板を取り除いても食らいつきに行かなくなると言う話である。物事は諦めたら、もう前には進まない。
組織で良く聞く「上司に言っても、答えは返ってこない、言うだけムダ、もう何も言わないようにしている」と言う話があるが、これでは組織の活性化はされない。何度でも挑戦するマインドが欲しいものである。
このような話から組織の活性化には「ナマズとカマス」が必要、異質なナマズのような人材が常におり周りを刺激し続け、絶対にあきらめないカマスの集団になってこそこれから生き残る組織のような気がする。

2013/12/06 15:03

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