早稲田大学の遠藤功教授が「言える化」と言うタイトルの本を上梓された。
「会社のために働くな、自分のために働け」「社員がなんでも言える会社は強い」とある。そう!私が個人ヒアリングで何時も言っている「自分の力を付けよ、結果として会社に貢献する」「何でも気楽にまじめな話の出来る会社にしよう、そうすれば会社は伸びる」と同じではないだろうか。
「言える化」の前には必ず「見える化」が先行する、「見える化」はトヨタの生産方式に端を発するが、見えずにアバウトな「つもり」では前には進まない。
良くお話しするが、ある取り付け工事会社の事業所でリーダーが配下の方達に公平に声をかけようと言うことになったが、今までもリーダー達はみんな公平に声をかけているつもりだった。そこで面倒であるが、あるリーダーの方に手帳にメンバーの名前を書いて、後で良いから声をかけたら「正」のマークを書き込み、1か月続けてみようと言うことになった。そうすると意外な結果が出てきたのである、多い回数のメンバーは30回、少ない回数のメンバーは3回だったのである。「見える化」してこそ分かったのである。少ない回数のメンバーの原因は事業所から遠隔地のエリアばかりが多く、スキルが高いので難工事が多く帰社が遅い、リーダーには何も悪気はなかったが、そのメンバーは非常に悩んでいたのであった。そこでリーダーとメンバーが何でも言える場を持ち、リーダーはメンバーに打開策を提案して、謝ったのである。その後はスムーズな声掛けが出来たと言う事例を思い出した。
「言える化」は「見える化」が出来ていないと的を射た内容を進言することは出来ない。前職で下層階の閉店時刻1時間延長と言う話が出た時である、もちろん企画部門が調査をしてある階まで1時間延長すると言う提案が出た。
しかし下層階の中でも一番上の階は本当に延長することが良いのかかなり迷ったことがあった。
そこでその対象階の有志女性社員数人を集めて、延長効果があるのか、費用対効果は出るのかなどを現場感覚で約1カ月間調べてもらったことがあった。
彼女らは仕事に支障をきたさないように、パート社員の方まで巻き込んで調べてくれたのである。そして「1時間延長は効果がない、30分延長ならお客様にもご満足いただけるし、我々も頑張れる」と堂々と言ってくれた。まさに「言える化」を実践した。結果、そのフロアは30分延長となり、全館的には大きな成果が生まれたことがあった。企画部門だけのデータは現場の実態を反映しないことが多い、現場は見えているから、堂々と意見が言えるのである。
2013/12/16 12:50