ある企業で女性中堅社員の方と初めての個別気づきヒアリングをした時のことである。その時は彼女はおっとりとされており、自分の課題も今一つはっきりと認識されていなかった。それとなく課題は何かと聞くと「タイムマネジメントが出来ていない」「物事をはっきりと言い切れないと」と言う。
それではまずタイムマネジメントの実践するためには、どんな時間が無駄になっているのだろうかを聞いてみた。彼女は企画部門だったので書類作成に時間がかかるのか?関連部門との交渉に手間取るのか?いろいろな質問を投げかけたが明確な答えが出ない。意識はあるが自分のゴールが見えていないし、従って走れない状況だったのである。
また物事を言い切る力が弱いについては、事前の準備が足りずに相手の意見に誘導されやすく、間違っても良いから自信を持って言い切る力が弱かったらしい。そこで私と一緒になって難しく考えずにいろいろと考え方の方向づけをナビゲートしてあげた。
そして2回目のヒアリングを迎えた。何といろいろとまとめた書類を持ってこられ、まず「タイムマネジメント」については数日間の自分の行動記録をとり、時間の使い方の分析をされていた。そして彼女の言葉で言えば「すきま時間=予定と予定の間に生じた短時間の余裕時間(無駄な時間)」が一日平均60分あると言うではないか、要は自分では気づかずに、やや無駄な非効率的な作業をしていたと言う。そしてその余裕時間をたびたびしていたメールチェツクに集中し、今まで手薄だった後輩の指導時間に充てると言いきられたのであった。また1回だけでは不十分なので1カ月が経過したら必ず結果の検証をして、次のステップにつなげる決意だと言われた。凄い気づきと行動力であった。
しかも最近は時間外も減ったと言うではないか。「物事を言い切る力」についてはまずは間違っても良いから「結論」から先に言うように強く意識したらしい。そのためには結論に至るプロセスも以前にも増して十分に考える癖を付けたのである。上司との報・連・相もかなりスムーズになり、上司からも「分かり易くなったね」と言われたと喜んでいた。何よりも私との個別ヒアリングでは1回目に比べ、お互いのキャッチボールがスムーズに進んだのは言うまでもない。長年個別ヒアリングをしているがこんなに短期に変化された方は珍しい。
最後に私の「何故そんなに変身したの?」との問いに、最少は課題も漠然と捉えただけだったが、このヒアリングを通して難しく考えずに自分の出来ることを考えて課題がはっきり見えて来たからと言われた。
こんなに速く気づかれた彼女は現在、部門内で大活躍されているようだ。
2014/01/19 09:03