人と組織研究所 気づきナビゲーター 高橋貞夫

ブログ

2014年2月20日

リーダーシップ(ビジネスサプリメント575号)

ある時50歳代の部下のいない方々の研修会に招かれた。対象者はラインではなく専門職的な仕事で自分に与えられた仕事をこなすと言うスタイルだったのである。また研修のタイトルが「あなたが果たすべきリーダーシップとは?」と言うもので私も最初から違和感を否めなかったのは事実である。
やはりグループワークの研修中に「我々はラインではなく、部下も居ない、そんな状況でリーダーシップを考えるのは難しい」との意見が出て来た。確かに従来のリーダーシップと捉えると難しい。私は長年のキャリアを活かして、技術の伝承役として考えて欲しいし、ラインとその部下のパイプ役でもある。
そして何よりも大切なことは働く仲間として後輩に「気づかせる」ことが求められるのではないかとお答えした。皆さんようやく理解され活発な意見交換が始まったが、どうしても直接指示をし、注意するのは難しいと言う意見が出ていたが、ある人が次のようなことを言われた。「我々はキャリアを積んでいる、今の若い人たちに注意してもなかなか理解してもらえないことが多い、しかし<気づかせる>ことは出来るのではないか。最近の私の事例だが若い部下が上司にぞんざいな言葉で報告をしている様子を見た、こんな報告で良いのかなぁと思っていたが、当然上司は不満足な顔をしている、黙っていようと思ったがその若い人に<あんな言葉づかいはだめだよ!>と言っても、何であなたに言われなければならないの?となる、そこで<今見たけどあのような言い方で上司は理解したかなぁ?>と問いかけた、そうすると自分の言い方を振り返ったようで自分なりに考えている様子、そして再度丁寧に簡潔に、上司の反応を見て言うようになり、上司も良く理解されたことがあった」と発表された。
この事例はトップダウンのリーダーシップではなく、問いかけて気づかせる、自分で考えさせることが大切、また上司と部下のパイプ役にもなっていたのである。私自身も転職した時から部下はいなかったし、直接注意する機会も少なかった。ある時自分の席に年下の社長が来られた、すぐさま立ち上がり手帳とペンを持ちお話しをうかがう姿勢をとったことがあった。その時にすかさず社長が各メンバーに「見ろ!私が席に行くと立ってメモの用意をされたではないか、みんなもマナーを見習うように」と言われたことがあった。
リーダーシップの定義は難しいが、考えさせる、後ろ姿を見せることも重要なリーダーシップではないだろうか。

2014/02/20 09:27

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