人と組織研究所 気づきナビゲーター 高橋貞夫

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2014年3月 1日

スリムな心(ビジネスサプリメント576号)

個別ヒアリングをして感じることは自分自身の悩みや迷いで「心の肥満」になっておられる方が多いように思う。即ち心に贅肉がついており、マイナス思考になってしまっているのである。過去を捨てきれずに引きずっているのかも知れない。ポジティブな考えがいっぱい詰まってふくよかな心であれば問題はないが、ネガティブな考えや感じなくてもいいストレスは贅肉となる。自分自身を振り返ったらあまり偉そうなことは言えないが、無意味なプライド、固定観念、こだわり、頑固さ、自負心、どれも自分を変える時には不要なものではないだろうか。
最近は早期退職をされる方が増えているが、当然心に贅肉がついている方が多いと思う。大幅な希望退職を募集する昨今、一つの企業で1000人規模の退職も珍しくなくなってきたが、次のステップに移ることはかなり難しいことではないかと思う。部長だ、課長だと言われて部下に長年指導もしてきたし、実績には自信があった。それがいきなり、ネクタイを締めなくてもいいし、出社もしなくていい、好きなだけテレビ見ていてもいい状況に慣れる時期があることは怖いことだ。環境の急変に戸惑うためにせめてプライドや過去の実績にしがみついて安心していたい気持ちは良く理解出来る。しかし心に贅肉がついた状態ではどこも相手にされない。無駄なものであればそぎ落としておくべきである。過去の成功体験は決して無になるはずはないが、成功からはあまり学べない、失敗からこそ学べるものが多いのも事実である。活かすべきところは活かし、捨てるべきところは捨て去るべきである。そうしなければ、本当に今こそ身につけておきたい知識や情報がキャッチ出来なくなってしまう。心がスリム(好奇心旺盛)になっておれば、ものを見たり聞いたりしてもすぐ自分のものになる。贅肉を落としてどんどん吸収しようと貪欲になる方が鋭敏になりポジティブ思考になってくるのではないだろうか。
転職しても以前のこだわりに縛られて「○○では」「前の会社では」「元の会社では」と言うような「出羽(では)の守」になってはいけない。私も前職で失敗した経験から、過去のことは自分から言うべきではなく、相手から意見を求められた時に言ってこそ受け入れられるものだと分かったことがあった。要は自分に素直になりきることが大事である。これからの時代は自分の経験を通して、こだわりに縛られた自分のワールドから抜けだして肥満な心をスリムな心に変えていくことが大切だと痛切に感じる。

2014/03/01 10:13

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