個別ヒアリングをして感じることは自分自身の悩みや迷いで「心の肥満」になっておられる方が多いように思う。即ち心に贅肉がついており、マイナス思考になってしまっているのである。過去を捨てきれずに引きずっているのかも知れない。ポジティブな考えがいっぱい詰まってふくよかな心であれば問題はないが、ネガティブな考えや感じなくてもいいストレスは贅肉となる。自分自身を振り返ったらあまり偉そうなことは言えないが、無意味なプライド、固定観念、こだわり、頑固さ、自負心、どれも自分を変える時には不要なものではないだろうか。
最近は早期退職をされる方が増えているが、当然心に贅肉がついている方が多いと思う。大幅な希望退職を募集する昨今、一つの企業で1000人規模の退職も珍しくなくなってきたが、次のステップに移ることはかなり難しいことではないかと思う。部長だ、課長だと言われて部下に長年指導もしてきたし、実績には自信があった。それがいきなり、ネクタイを締めなくてもいいし、出社もしなくていい、好きなだけテレビ見ていてもいい状況に慣れる時期があることは怖いことだ。環境の急変に戸惑うためにせめてプライドや過去の実績にしがみついて安心していたい気持ちは良く理解出来る。しかし心に贅肉がついた状態ではどこも相手にされない。無駄なものであればそぎ落としておくべきである。過去の成功体験は決して無になるはずはないが、成功からはあまり学べない、失敗からこそ学べるものが多いのも事実である。活かすべきところは活かし、捨てるべきところは捨て去るべきである。そうしなければ、本当に今こそ身につけておきたい知識や情報がキャッチ出来なくなってしまう。心がスリム(好奇心旺盛)になっておれば、ものを見たり聞いたりしてもすぐ自分のものになる。贅肉を落としてどんどん吸収しようと貪欲になる方が鋭敏になりポジティブ思考になってくるのではないだろうか。
転職しても以前のこだわりに縛られて「○○では」「前の会社では」「元の会社では」と言うような「出羽(では)の守」になってはいけない。私も前職で失敗した経験から、過去のことは自分から言うべきではなく、相手から意見を求められた時に言ってこそ受け入れられるものだと分かったことがあった。要は自分に素直になりきることが大事である。これからの時代は自分の経験を通して、こだわりに縛られた自分のワールドから抜けだして肥満な心をスリムな心に変えていくことが大切だと痛切に感じる。
2014/03/01 10:13
| パーマリンク
先日名刺の整理をしたところ、何と千枚近くはあった。徐々に処分してきたつもりなのだがびっくりした。しかし悲しいことに、名刺交換のみに終わり、殆どの方は覚えていない。最近は写真入りの名刺をお持ちの方も多いがなかなか思い出せない。整理の名人の本には「覚えていない名刺は捨てる」とあったが、昔の名刺はもっと裁断し処分しなければいけないと感じた次第である。最近人脈作りという言葉が良く使われる。異業種交流会も盛んに行われている。私も一時このような会合に進んで参加したものだった。交換した名刺はたくさんあるが、今でもお付き合いいただける名刺はほんの数枚しかないのが現実である。もちろん自分に原因があることは良く分かっている。
名刺交換の時に気の合う人だと思えば「また一度ゆっくりとお話しませんか?」と言うご挨拶をすることが多いが、言葉だけに終わることが多いのも現実である。極端だがこの言葉は「あなたとはもうお付き合いしませんよね」かもしれない。何だか人間不信のような発言になってしまったが、決してそうではない。無駄なことは止めた方が良いと思うだけなのだ。
そんな中にあっても「この方なら」と思う人がおられるし何時でも連絡は取れる。しかし自分に気のあった人ばかりでは拙い。どうしても同じ考えの方とは話しやすいものだ。自分で経験したことだが「おやっ?この人は!」と思う人ほど面白いお付き合いも出来、関係も深まることが多い。お付き合いもTAKE&TAKEでは長続きはしない、GIVE&GIVEから始まる、そしてGIVE&TAKEの関係になってこそ真のお付き合いなのだ。
そしてお話も「タテマエ」だけではなく「ホンネ」で話し合ってみよう、こちらの心をオープンにすれば、相手の心もオープンになり、信頼関係が芽生えてくるものだ。しかし言いたいことをストレートに言ってしまい、相手の心に傷を付けて信頼を失ってしまうこともあるので、心したいものだ。今になって思うのだが、名刺の枚数が多いことが素晴らしいことではない。少なくてもどんな良いお付き合いに結び付けられるかが大切なことではないだろうか。
しかし一番大切なのは「一期一会」の心を大切にしなければならないことは言うまでもない。
2014/03/10 09:02
| パーマリンク
ある雑誌で「レジリエンス」と言う言葉を見つけたが、私はこの言葉を全く知らなかったので少し調べてみた。多くの解説があったがシンプルにまとめると、
この言葉はresilienceと言う英語で精神的回復力、抵抗力、復元力、耐久力と言う意味の心理学用語らしい。「困難な状況にもかかわらずしなやかに適応して生き延びる力」とあった。うーん難しい!その雑誌にはソチ冬季オリンピックで6位入賞した浅田真央選手のことが書かれていた。彼女の活躍が日本人を感動の渦に巻き込んだのは記憶に新しいし、金メダルと言う重い課題を抱えながらのストレスは凄いものであっただろうが、彼女はメダル以上のものを残してくれた。
浅田選手から学ぶべきことは多々あるが重要な事はショートプログラムで「どん底」に陥りながらもわずかな期間で再起してフリースタイルで最高の演技をした「レジリエンス=復元力」だったのである。この言葉は世界中の人材育成の現場でも注目されているキーワードらしい。浅田選手がどん底から何故そのような素晴らしい成果が残せたのだろか、持っている能力を思う存分発揮し、メンタル面では良い意味での「開き直りの心」ではなかっただろうか。演技後の彼女の涙は悔し涙ではなく、うれし涙であったのだろう。どん底を見た人は強いものだ、浅田選手は今後もまだまだ活躍して欲しいと思う。
私も比較にはならないが、阪神淡路大震災、震災に伴う長期の労使紛争、大型倒産、失職、転職と「どん底」な状況であったが、今それを振り返れば自然な流れとして捉えることが出来る自分がある。当時はかなり空回りをしていたように感じるし「何故自分が?」と言うように考えたことも多々あった。しかし前に進むには今までの自分の力を思う存分発揮するしかなかったし、自分自身が如何に「ゆでガエル」であったのかを再認識させられたことも多かった。
精神面では5つの「あ」が大切であった。それはまず、あきらめない<あきらめたらその時点で前には進めない>、あわてない<普段の落ち着きを失わないようにする>、あせらない<あせればあせるほど失敗をしてしまう>、あなどらない<これを忘れると無意識の手抜きが始まる>、あてにしない<人間不信ではないが、自分が自立しない事には前には進めない>を実践してきたのである。そう「しなやかに適応していく」しか前には進めない。
あらゆる分野のリーダーは今こそこの「レジリエンス」が求められているのではないだろうか。
2014/03/20 09:25
| パーマリンク