人と組織研究所 気づきナビゲーター 高橋貞夫

ブログ

2014年9月15日

怒ると叱る(ビジネスサプリメント590号)

以前から「怒る」と「叱る」とは違うとよく言われてきたものだ。
「叱る」は愛情、「怒る」は感情が入ると説明されることが多く、感情的にならず、愛情を持って指摘するのが「叱る」と言われることが多い。確かにその通リだが、また少し違った考え方もないだろうか。ある本に自分のために怒る、相手のために叱ると書かれていたのを思い出した。「怒る」とは、相手が自分に悪い影響を与えたり、自分が指示したとおりに動いてくれなかったりした場合に、自分が腹をたてたことを相手にぶつける動作であるのかも知れない。
人に注意する時「今から叱る」のだから「愛情」を忘れなくしようとか、腹が立つが「感情的」にならずにおこうと思ってその場に臨むことは少ないのではないだろうか。私自身の経験で「怒られた」のだが後で「叱られた」のだと思い返すことが良くあった。最初に述べたことは基本ではあるが、お互いの信頼関係が構築されておれば、叱る時に「思い切り感情を入れ込んでもおかしくはない」と思う。手を出すのはもってのほかだが、机を叩いて大声でどなりつけることも場合によっては愛情表現かもしれない。いささか乱暴だが「アホ・ボケ」なんてパワーハラスメントになるような言葉も効果的なこともあるだろう。
しかし「相手に対するリスペクトマインド」がなくては単なる怒りの感情発散になってしまい、何の効果も出ない。また叱る時は1人で周りに人が居ない時にすると言う説も良く聞くが果たしてそうだろうか。筆者が随分昔あるミスを犯した部下に対して「辞表を出せ!」とどなったことがあった。しかもみんなの前であったが、周りには緊張感が漂っていた。問題点の重要性を全員が共有したのである。但し打たれ弱い人には禁物である、そのことで立ち上がれないことが生じる。人を見て対応しなければいけないことは言うまでもない。
叱った部下とは「絶大なる信頼関係が築かれていたのである」、その後「カッーとなってしまったが、あのミスは今後絶対にしてはならないと思い、荒い言葉や態度になってしまった、ごめん!」と事後一言添えたのである。その後彼との関係も極めて良く、彼はその失敗を2度としなかった。愛情や感情論で語るのはたやすいが、一番大事なことは「叱る」にしても「怒る」にしても相手に対して「人としての尊敬の念」がなければならないと言うことかもしれない。

2014/09/15 09:16

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