人と組織研究所 気づきナビゲーター 高橋貞夫

ブログ

2014年10月 1日

一歩を踏み出す(ビジネスサプリメント591号)

ワランツ・カフカの短編に「掟の門」という寓話があったが次のような内容である。<田舎からある男が掟の門の前にやってきた、門は開かれていたがその門に門番が立っている、男は入れてくれと言ったが「今はダメだ」と答えた、「後でなら、入れてくれるのか」と門番に尋ねると「そんなに入りたければ入っても良いが先に行けばもっと怖い門番がいるぞ」と言うではないか、そこで男は怖くて中に入れなかった、長い年月が経ってやがてその男の最後の時がきた、男は門番に向かって最後の問いかけをした、「誰もが掟を求めているのにその門には誰もやってこなかったがどうしてか?」と言った、すると門番は「この門はお前一人のための門だったのだ」と言って門が閉ざされた>という話である。随分と示唆に富んだ話ではないか。要は自ら一歩を踏み出さないと前には進まない、自分でしか道は切り拓けないと言うのだ。この話から今の混迷した世の中では次のようなことが言えるのではないだろうか。
まず指示待ちだけでは進歩がない、「何とかなるだろう」では問題は解決しない、自らのアクションが無ければ道は拓けないということが言える。とかく原因ばかりを挙げて躊躇していては前には進めない、他責ではダメなのである、前提条件を踏まえて如何に行動するかがまさに問われているのではないだろうか。
また問題の先送りは決して良い結果を生み出さないものである。今あらゆる組織で問題の先送り事例が多いが、ますます解決が難しくなってくるのではないだろうか。筆者の経験で、あるクレームの先送りをしたことがあったが、どんどんと問題が大きくなり解決が難しくなったことを思い出した。煙の間に解決しないと、火が出てからでは遅い。適当なる「間」は必要かもしれないが「逃げの間」は禁物である。そう!逃げてはだめで、逃げたら追っかけられるものだ、追っかければ道は拓かれると肝に銘じたい。
兵庫県但馬の偉人であり教育者であった東井義雄さんが言われた「夜が明けるから陽が昇るのではない、陽が昇るから夜が明ける」という言葉を思い出した。

2014/10/01 09:04

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