人と組織研究所 気づきナビゲーター 高橋貞夫

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2014年11月 1日

値ごろ感(ビジネスサプリメント593号)

先日朝日新聞の波聞風問という多賀谷克彦氏のコラムを読んだ。ある地方百貨店の話であったが「なかなか複数の衣料品をコーディネートして買っていただけない、単品買のお客様が殆どだ」という実態があるそうだ。また消費増税後の落ち込んだ売り上げがまだまだ回復しない、そろそろ回復と期待された7月以降も前年同月比5~9%幅のマイナスが続いているという。地方商店街の方も「お客様は増税後、いちだんと価格に敏感、給与は増えたという話も聞かない」と語っておられた。やはり賃金上昇は一部の大手企業の昇給が話題となっているだけなのかもしれない。
しかし都市部の主要百貨店の上半期の売上高は、東京、名古屋、大阪などでは前年同期を上回っている。反面地方のお店は前年割れになっているほど厳しい状態なのだ。都市部が好調なのは増税後もこれまで通りに消費出来る余裕がある層がしっかり存在するからだと語られていた。そういえば百貨店関係の知人に話を聞くと、店頭の売り上げはあまり活気がないが、外回り営業でお得意様をご訪問する外商部は順調に伸びていると言う。昔は外商部の売り上げを上げる商品は宝石・美術・海外ブランド・時計・毛皮等であったが、今も同じような事らしい。また外商のお客様は資金的にも余裕がある高齢者の方々が多いことも影響しているのだ。記事には次のような電通総研の調査結果も掲載されていた、「節約への意識」「消費を増税前にもどすか」などの消費行動について聞いた結果、消費のスタイルを変えない「ゆとり層」と「中間層」、増税後にスタイルを変えた「節約層」にわかれ、その割合は4:2:4だったという。そしてコラムは消費税増税後は地域・所得・世代間の3つの格差が表れていると結論付けされていた。
前職で上記分類の「中間層」のお客様から厳しく言われたことを思い出した。
ものを買う立場の人は価格よりも価値があるなぁと感じればその商品に「値ごろ感」を感じて購買するものであると。先日の日経新聞に掲載されていたが、マヨネーズやパンが値上げ前の水準に落ちたのは結局「値ごろ感」が感じられないからなのか。売り上げが伸びないのは、消費行動だけの問題だけではなく、価格<価値=値ごろ感がある商品が少ないからかも知れない。物価上昇に給与が追い付いていない時こそ「値ごろ感」のある商品を前面にだして売らなければいけない。株高などに支えられた「ゆとり層」の消費に頼っていてはいけない時代に突入したのである。

2014/11/01 08:52

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