人と組織研究所 気づきナビゲーター 高橋貞夫

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2008年9月25日

マネージャーとリーダー(ビジネスサプリメント332号)


神戸大学の金井教授が「マネージャー」と「リーダー」の違いを述べられていた

記事を思い出した。マネージャーは辞書で引くと「会社などの経営者、支配人、

家事や金銭のやりくりする人、切り回す人」とある。一方リーダーは「指導者、

指揮者、先頭の人」とある。

我々は何気なくこの言葉を使っているが、最近の経営学ではマネージャーは

「会社という複雑なシステムを上手く回す役割の人」であり、

リーダーは「既存のシステムをつぶしてでも、変革を起こす役割を担っている人」

を指すそうだ。

このような変化が激しい時代、予期せぬことが頻繁に起きる時は「上手く回す」と

言う考え方だけでは通用しない。まさに「気づきを喚起し、変革を起こす」ことが

大きく求められていることは言うまでもない。しかし気づきを喚起するとは?

変革を起こすとは?がなかなか難しいことなのである。

評論家は結果からコメントするし、誠にもっともらしいことを言われるが

「じゃーあなたは実践の場において気づきを喚起されたことがありますか?

変革を起こされたことがありますか?」と問えば自信を持って答えられる人は

極めて少ないのではないか。世の中リーダーが不在なのである。

即ち「変えるべきものを変える勇気を持ち、守るべきものを守る信念」が

必要なのである。

その解は私の経験から「守りの気持ちが絶対に先行してはならない、

ダメ元ではなくダメ素」の考え方が求められる。

そうすればリーダー的マネージャーになれる可能性を秘めている。

そしてそのような人材が現れた組織は必ず生き返るものと確信する。

2008/09/25 05:52 |

2008年9月18日

価格か価値か?(ビジネスサプリメント331号)


「身の丈消費」と言う言葉が使われ出した。無理して買わず納得して

買われる傾向が顕著になってきたのだ。百貨店やスーパーの売上げが

下がり続けている。

前職でお客様から強いお叱りを受けた経験があった。

バーゲン商品の販売でお客様がM寸では合わずL寸を所望されたのだが、

バーゲンでありL寸がなかった。販売員が「ありません!」の一言のみの応対で、

大変お怒りになられたのである。その時のお言葉は「私は安いから買うのではない、

価格より価値があるから買うのだ、それを忘れた対応をしている」というものだった。

安いからといって安易な対応をしているのが許せないとお叱りを受けたのである。

そのお客様は高額な宝石を買われた後の出来事だった。

最もなことであり仰せの通りである。

今小売が苦戦しているのは、価格訴求ばかりを全面に出し、価値の訴求が

出来ていないのではないか?この価格でも「このような品質である!」という

ことが薄れている。

例えば団塊の世代が700万人もいるが、その人達がターゲット顧客として、

いろいろな商品が売り出されている。しかし昔の60歳代と今の60歳代は

価値観が違うのである。違った価値観の顧客に同じような訴求で買って

いただける訳がない。

今の消費低迷はこのような世の中の変化に対してついていけていないこと

にも大きな原因があるのではないかと感じる。

オンタイム「うつ」のように、昔では考えられないことが起きている時代、

我々は全てにおいて、世の中の変化をいち早くキャッチして、即対応していく

ことが求められるのではないか。

2008/09/18 06:26 |

2008年9月11日

オンタイム「うつ」(ビジネスサプリメント330号)

仕事中に不調を訴え、オフタイムはそれなりに元気と言う新しい

メンタルヘルスパターンが増えている。従来の「うつ」は「頑張っている

同僚に迷惑をかけている」と自責の念が強く出て最悪自殺なんてことに

なりかねない。しかしオンタイム「うつ」は他責なのだ。

ともかく嫌な場面は逃げたいのである。

特に若い世代に多いと言われるが、数多くの企業をコンサルしていると

このような事例を垣間見ることが多い。

従来の「うつ」は几帳面・まじめ・自責・完ぺき主義などの性格特性がある。

しかしオンタイム「うつ」は自己愛が強い・他責・寂しがり・自立が出来ない・

人が苦手など性格特性なのである。

最近知り合いのドクターから聞いたのだが「私うつだと思うので診断書を

書いてください、しばらく休職します」と平然と言う若者が増えているそうだ。

今までの価値観では考えられないことではないか。そのような現象はおそらく、

「うつは心の風邪引き」など以前のような暗いイメージが払拭されていることも

影響されている。本当の「うつ」ならばこのような考え方は大いに結構なことだが、

挫折経験がなく、逞しく育った経験がないストレス耐性が弱いと言うパターンには

甘くとらえられているのではないか。

今やメンタルヘルスは「対策」から「治療」・「予防」と言うレベルになっているが、

このような気質の社員が増え、オンタイム「うつ」に振り回される従来型の「うつ」

になる上司もいると言う現実を見つめていかないといけない。

年間自殺者33,000人、未遂者30万人、予備軍300万にとも言われる時代

「予防」を超えた組織風土づくりが求められている。

2008/09/11 00:08 |

2008年9月 3日

不言実行より有言不実行?(ビジネスサプリメント329号)


先日の日経新聞にある会社が「不言実行」より「有言不実行」を大切にしたい

と社員に言われたとか。要は「こっそりやって成功するより、大見え切って失敗

する方が評価が高い」ということなのだ。

先日あるセミナーで人は何故変わらないのか?と言うご質問をしたところ、

「失敗したら怖いから今まで通りしかしない」と言うお答えが一番多かった。

まさに成果主義の弊害であり、プロセスを見ない結果のみの評価だから

そのような風土が生まれる。ある企業は業務が定量化しにくい部門の仕事

なども含め全社員が業務目標や四半期ごとの達成度を見ることが出来る

ようにしたそうだ。そうすると、同僚が何に重きを置いて仕事をしているかが

分かり「自分の達成すべき目標も見えてきたそうである」。

良い意味での情報の共有化から「気づき」を与えた事例であろう。

個々の意欲と組織の効率と言うものの関係を説明するために「エンゲージメント」

と言う言葉がアメリカ産業界で広がって、組織や仲間との一体感を醸成していく

とも解説してあった。この言葉をアメリカのコンサルタント会社では「社員が求められ

ている以上に意欲的に働く条件」と位置づけ、大きな成果を残されていると

書かれていた。よく使う言葉で「エンパワーメント」は「権限委譲」と訳するが、

当事者意識を持たせて「思い切りやってみろ、責任は上司の私が取るから!」

と言われれば大方の人は「有言不実行」が「有言実行」に変わってくるのでは

ないだろうか?

じっとしていては何も生まれない。今こそ「ともかく具体的なアクションを起こそう、

そうすれば明らかな成果が生まれる」ことを確信して。

2008/09/03 22:20 |

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