人と組織研究所 気づきナビゲーター 高橋貞夫

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2009年2月23日

価値と価格(ビジネスサプリメント355号)


私が前職で忘れられないクレームは、あるお客様がバーゲン商品をお求めに

なられた時の販売員の態度が凄く悪かったとご指摘を受けた時である。

お客様はその日に何と高額の商品もお求めになられていたのである。

その時の販売員は丁寧すぎるぐらいの応対であったとのこと。お客様が

仰せなのは「お客様を金額で差別してはならない、顧客心理は価値>価格なのだ」と

教えられた。すなわち値ごろ感なのである。

価格よりも価値があるなぁと思われたら購買につながる。

今は世界的大不況の時代、消費心理も冷え切っている。

メーカーは今まで多機能ばかりを追及してきた。デジタル機器を買い求めて

「マニュアル本」を読んでも理解出来ないのは私だけだろうか。

解っている方が書かれた本は、解らない人には理解しにくいのである。

全ての機能を使いこなせている方は少ない。

私も携帯電話の買い替えの時「ワンセグ」機能付きを無理やり買わされたが

殆ど携帯でTVを見ることなどない。必要なのは電話とメールだけなのではないか?

現実に簡単機能の携帯電話は凄く売れているようだ。

HDD(ハードディスク駆動装置)内蔵のブルーレイディスク(BD)レコーダーがあるが、

HDDに録画した番組をBDにダビングすることは極めて少ないのではないか。

要は録画出来れば良いのである。マニアの方は買われるが少数派ではないだろうか?

余計な機能を付けすぎて、価格が高くなれば売れない時代なのである。

そう!世の中の価値観は変わってきている。もっと「価格よりも価値がある」

と言うことをアピールすることが大切なのかもしれない。

シンプルイズベストなのだ。商品の価格と価値のバランスを考えなければならない。

今は不必要な機能にお金を出す消費ではなくなっている。

2009/02/23 21:12 |

2009年2月16日

情と理(ビジネスサプリメント354号)


全国各地を周って講演していると、今の世界的金融大不況は想像以上に

厳しいものがある。先日もある都市でタクシーの運転手の方とお話しして

いると、派遣先を辞めさせられやっとこの仕事に付いたが、思ったほどは

稼げないと嘆いておられた。TV番組の「カンブリア宮殿」で日産のゴーン氏が

「派遣切り」は経営として当然と発言されていた。そうなのだろう!

しかし、日本の強みは「従業員の一体感」「身を挺して懸命に取り組む従業員」

だったのではないか?今はそれがなく、雇用不安が障害者の方や高齢者に

まで影響が及んでいる実態は見逃がせない。

ふと夏目漱石の「草枕」の有名な言葉を思い出した。

「智に働けば角が立つ、情に棹させば流される、意地を通せば窮屈だ、

とにかく人の世は住みにくい」。智に働きすぎて、ギスギスした職場からは

品質の良いものは生まれない、みんなの持っている力も100%は出さない

であろう。情に流されれば、他社との勝負に負けてしまうし生産性は上がらず

致命的な傷になりやすい、意地を通せば「面従腹背」の風土になるだろう。

今の日本企業はともかく「減産」「コストカット」しか見えてこない。

去年は新卒の求人も2倍強で完全な売り手市場、しかし今年は何と様変わり

して気の毒な状況なのだ。1年でそんなに変わるものだろうか?

将来の人員構成に大きな溝が出きることは明らではないか。

正規に働く人たちもいつかは自分たちもと思うのではないだろうか?

あまりにも安直な人員カットがまかり通っている。

経営とは偉そうなことは言えないが、「情」と「理」のバランスだ。

そう!「理」に傾き過ぎて「情」が見えない。短期的には頓服薬には

なるかも知れないが、日本的経営の強さはだんだんと無くなっていくのが怖い。

今一度全員が100%の力を出せるような方策がないものかを考えてみる時でもある。

2009/02/16 06:28 |

2009年2月10日

おもてなしの心(ビジネスサプリメント353号)


先日ある有名なホテルでの私の講演会が行われた。私は何時も

1時間前には会場に着くようにしている。そのホテルも駅につながっており

立派な高層ホテルであった。先ずはロビーでゆっくりしようと思いソファーに

座ったが、何とテーブルには紙くずのごみがそのまま、ソファーには大きな

糸くずが付いている。

嫌だったので別のソファーに座りなおした。フロントには大勢のスタッフが

たむろされていたが、その中のお1人がロビー周りの汚れに気が付かれた

のか整理をされているではないか。やはりきっちりされていると思い、

またそのソファーに座りなおしたが、糸くずは付いたまま、しかもカーペットには

埃が残っていた。

あきらめて有料PC10分100円があったので、時間つぶしのために使ってみたら、

上手く起動しないのである(私の操作ミスではない)。イライラしているうちに

時間オーバーで終了、腹が立ったが別のソファーに座った。

そうすると何とスタッフがPC代金の回収をされているではないか!

指定されたフロアに行き事前にお手洗いを使おうとしたが、表示が見えない。

やっと見つけたが非常に汚れている。

このようなホテルではあり得ないことなのでびっくり!

講義を済ませてから、責任者に注意をしようと思ったが、帰りの時間も少なく

「もうこのホテルは使うこともない」と思い「サイレントクレーマー」になってしまった。

クレームを言うのは大変勇気がいるのである。

もう良いと思えば言わない。一流ホテルでありながら短時間に数多くの問題点に

遭遇したのである。このホテルはまだまだ問題点が隠れているのではないだろうか?

何故言ってあげなかったのかを反省したが、

基本的にスタッフの方に「おもてなしの心」が徹底されていないのだ。

2009/02/10 07:01 |

2009年2月 3日

コーチングについて(ビジネスサプリメント352号)


水泳の北島選手を育てた平井コーチの「見抜く力」と言う本を読んだ。

氏は「理論」も学習されておられるが、評論家ではなく「実践者」であり

「体験論者」なのでもある。

一番印象に残ったのは北島選手に「勇気をもって、ゆっくりと」を常に指摘

されていたという言葉だった。頑張ったから良い記録は出るとは限らない、

あせって水をかきすぎてしまう、そのあせりを抑える勇気が大事なのだ。

私も常々5つの(あ)を大切にしている「体験論者」なのだ。

全て読み終えて氏と同じような言葉が重なるのだ。

「あきらめない」=その時点で成長が止まる、克己心(自己との戦い)が大事

「あわてない」=忍耐力、心・技・体の充実、答えは常に現場にある

「あせらない」=あせりは負のスパイラルになる、あせっては成果が出ない

「あなどらない」=常に謙虚・誠実・初心を忘れない

「あてにしない」=最終は自分なのである

また私が個人別ヒアリングで心していることは「それはダメだよ」と言った

否定的な言葉は絶対に遣わない。「何故出来ないのか?」ではなく

「出来たことは何故だったのだろう?」と問いかけている。

そう!欠点を指摘しても閉ざされてしまうことが多いのだ。

それよりも長所をどんどん伸ばせば良いことが多いのだ。

また常に「目標=夢」を持って努力する姿勢も大事だ、

以前に「逆算日記」を作られた方のお話をお伺いしたことがあるが、

先ず「目標を決めてしまう」そしてその目標達成のために今現在の状態で

良いのかを必ず考えるのだ。

「コーチングスキル」をマスターしたところで役に立たないことが多すぎるのでは

ないだろうか?コーチングはスキルやノウハウではない、

一番大切なことは平井氏のような「人間観」と

「本人の気づきを如何にナビゲートするか」ということだ。そこから変革が始まる。

2009/02/03 18:57 |

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